本年度は、研究計画に従い、日本の教育委員会が地域の教育課題を解決しうる組織となるための方途、また、そのために必要とされる首長と教育委員会の関係構造の在り方、そして、それらを含んだ地方教育行政機構の在り方の解明を行った。 具体的には、高知県の教育改革施策の柱の一つである学校組織マネジメント改革の各学校での取り組み方と教育委員会の支援の在り方に関する考察を行い、その研究成果を論文としてまとめ公表した(能勢朋典、柳林信彦「学校教育目標共有のための方策に関する研究-B中学校における目標共有方策の試行と検証を中心に-」『高知大学教育学部研究報告』 第84号、pp.67-74、2024年3月:山﨑一平、柳林信彦「全教職員の学校運営への参画を促す方策に関する研究-ボトムアップマネジメントを可能とする意識改革に着目して-」『高知大学教育学部研究報告』 第84号、pp.85-93、2024年3月など)。 また、高知県土佐町の土佐町小中学校のコミュニティスクール事業、高知県における地域学校協働本部事業、高知市の学校運営協議会事業のそれぞれにおいて、地域教育課題の解決に教育行政機関が果たしている役割の解明を行った(日本教育制度学会第30回大会、課題別セッション「改めて学校と地域の連携協働制度の位置づけを捉える」を企画・実施)。地域と学校との連携施策においても、教育委員会が学校任せにせずに継続的な支援を提供すると共に首長部局との連携も含んでイニシアティブを発揮することが重要であるとの知見が得られた。 最終的に、これまでの研究知見に基づいて、地方創生時代の教育委員会の在り方の解明を進め、その成果を研究論文としてまとめ公表した(柳林信彦「教育委員会制度改革の展開から見た現行教育委員会制度の意義-地方創生期の教育委員会制度に向けて-」『教育制度学研究』第30号、pp.4-20、2023年10月)。
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