研究課題/領域番号 |
19K02531
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
見原 礼子 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (70580786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セクシュアリティ教育 / ヨーロッパ / 多文化社会 / 移民・難民 / イスラーム |
研究実績の概要 |
当初の本年度の研究計画はオランダ・ベルギーの学校教育機関を対象とした現地調査を実施することであったが、新型コロナウイルス感染拡大により現地の学校教育機関も長期間休校となっていたため、研究実施計画の見直しを図った。 その結果、本年度は、多文化社会におけるセクシュアリティ教育のポリティクスにかかわる問題背景と理論的枠組みを整理し、それらを批判的に考察したうえで、単著にまとめていく作業に充てることを最も大きな課題として設定した。すなわち、当初は研究の最終年度に予定していた単著の刊行を前倒しにして問題の背景と理論的枠組みを詳細に整理したうえで、研究期間の後半に理論的考察の結果を踏まえた現地調査を実施しするという流れで研究を遂行することとした。 問題背景と理論的枠組みを整理するにあたり、その取り組みの土台の一つとして数年にわたって取り組んできた性加害少年の治療に関する著書の翻訳作業を完了し、年度はじめに刊行することができた。また、欧州評議会子どもの性的搾取及び性的虐待からの保護に関する条約事務局が刊行するセクシュアリティ教育教材の日本語版の翻訳を手掛けることで、同条約が推進するセクシュアリティ教育プロジェクトに関わる理解をさらに深めることが可能となった。 その一方で、現代移民研究/現代イスラーム社会論の観点から、ヨーロッパにおけるセクシュアリティ教育の現状と課題について考察を深めることも進めた。これらの成果は、イスラーム・ジェンダースタディーズの論集にコラムを寄稿するなどして公表した。 これらの成果も踏まえつつ単著の執筆も進めたが、刊行は来年度になる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地調査に先駆けて、本課題にかかわる問題背景と理論的考察をまとめた単著を年度内に刊行することを目標として研究に従事してきたが、単著の刊行には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度中の単著の刊行を目指して、引き続き多文化社会におけるセクシュアリティ教育のポリティクスにかかわる問題背景と理論的枠組みの整理に努める。また、昨年度取り寄せる予定にしていた一次資料(教育教材など)を現地から取り寄せ、それらも分析の対象に加えることで、より具体的な事例研究も進めていく。現地調査については、渡航が可能になり次第、計画を立てて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヨーロッパでの調査旅費にあてていた予算を使用することができなかったことが最大の理由である。次年度に繰り越したうえで、渡航が可能になり次第、調査を遂行する。
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