若者の選択は,実体験や身近にある実像よりも,様々な媒体を経由して共有する児童文化・大衆文化に影響を受けやすい。そこで,日本とチェコにおけるジェンダー形成期(20世紀後半)の児童文化・大衆文化,および現在の児童文化・大衆文化が示すジェンダー・メッセージに関する比較分析を行った。現役労働者と未来の労働者のケアに従事する専業主婦の浸透,人口増に寄する母親像の浸透,社会主義崩壊の国際化・自由化に乗じた欧米の旧きフェミニティの浸透等,政治・経済的ジェンダー戦略を背景として成立した児童文化・大衆文化には,現在においても家庭や母性,美の追求を女性の領域とするジェンダー・メッセージが含意されている。
|