研究課題/領域番号 |
19K02533
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
四戸 智昭 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (70347186)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不登校 / ひきこもり / 支援困難な親 / 共依存 / 支援者のためのチェックリスト |
研究実績の概要 |
申請者は、2006年から不登校やひきこもりの子を抱えた親の相談等の支援を行っている。2013~2015年に行った科学研究費若手研究B,「不登校・ひきこもりの子を抱える親たちの心理的特徴とグループミーティングに関する研究」により、支援の場に参加することを躊躇する親、自分で何もしようとしない他者依存が強い親など『支援困難な親』たちがいることがわかった。 その後、2016~2019年に行った科学研究費基盤研究C,「不登校・ひきこもりを抱える『支援困難な親』のためのセルフチェックリストの研究」により、不登校やひきこもりの当事者の変化(回復)を促すためには、当事者の親の変化(共依存からの回復)が重要なポイントであることがわかった。 しかしながら、申請者がソーシャルワーカーや保健師らと協同で行う支援業においては、上記の点の回復支援についていくつかの問題点があることがわかった。 例えば、①「当事者のひきこもり情報ばかりに目が向いてしまう支援者(夫婦問題・親と子の共依存問題に気が付かない支援)」、②「問題を極小化してしまう支援(学校に行かないこと、就職をしないことだけが問題と考えている支援)」、③「親の意向に沿うことが支援だと思っている支援者(当事者家族に共依存してしまう支援)」、④「家族全体に力動的変化を促すことが困難な支援者(家族に求められた訪問支援ばかり続ける支援)」などである。 こういった支援の問題点を仮説とし、相談に訪れる親の変化を促すための支援者(ソーシャルワーカーや保健師等)のためのフローチェックリストを開発することができれば、支援者の支援技術が洗練され、なおかつ、支援者のマンパワーや時間といった資源をより一層有効活用することができるものと考えられる。この支援者側の支援のためのフローチェックリストを開発することが本研究の目的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究二年目(令和2年度)においては、初年度の調査分析状況を見直し、必要があれば追加の分析作業を行い、初年度の作業で明らかになった支援の問題点を整理し、親の変化を促すためのフローチェックリストを作成する予定にしていた。 ところが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、これまで申請者と協同で支援業務を行っているソーシャルワーカーや保健師らから作成したフローチェックリストに関する意見や疑問点を聴取することができなかった。 本件に係る調査分析作業については、翌年度に研究を繰り越すことにしている。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度(平成元年度)は、支援相談対応のケース分析として、これまでに申請者が保健所(福岡県鞍手保健福祉環境事務所)等で行っている親への相談支援業務におけるケースについて、親や当事者に変化を促すことができなかったケースについての分析検討を行った。具体的には、ケースを4つの仮説に該当するものとそれ以外のケースに分類し、ケース記録から支援者の支援方法等の問題点の整理を行った。 研究二年目は、初年度の調査分析状況を見直し、必要があれば追加の分析作業を行う。初年度の作業で明らかになった支援の問題点を整理し、親の変化を促すためのフローチェックリストを作成する。申請者と協同で支援業務を行っているソーシャルワーカーや保健師らから作成したフローチェックリストに関する意見や疑問点を聴取し、必要があればフローチェックリストを修正する予定である。 研究三年目は、二年目の調査研究作業について見直しを行い、必要があれば調査研究作業の見直しを行う。特に、相談フローチェックリストへの支援者の疑問点が新たに出された場合は、その点についての修正を速やかに行う。作成された相談フローチェックリストに基づき、親への相談支援業務を実施し、ケース記録を分析しながら支援業務の問題点があればフローチェックリストに修正を加え、相談フローチェックリストを公開する予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、研究二年目(令和2年度)においては、これまで申請者と協同で支援業務を行っているソーシャルワーカーや保健師らから作成したフローチェックリストに関する意見や疑問点を聴取することができなかった。 本件に係る調査分析作業については、令和3年度に研究を繰り越し、初年度の調査分析状況を見直し、必要があれば追加の分析作業を行い、初年度の作業で明らかになった支援の問題点を整理し、親の変化を促すためのフローチェックリストを作成する予定にしている。
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