研究実績の概要 |
申請者は、2013~2015年に行った科学研究費若手研究B,「不登校・ひきこもりの子を抱える親たちの心理的特徴とグループミーティングに関する研究」および2016~2019年に行った科学研究費基盤研究C,「不登校・ひきこもりを抱える『支援困難な親』のためのセルフチェックリストの研究」を行っている。 上記2つの研究結果より、申請者が保健師らと協同で行う支援業務においては、いくつかの問題点があることがわかった。例えば、①「当事者のひきこもり情報ばかりに目が向いてしまう支援者(夫婦問題・親と子の共依存問題に気が付かない支援)」、②「問題を極小化してしまう支援(学校に行かないこと、就職をしないことだけが問題と考えている支援)」、③「親の意向に沿うことが支援だと思っている支援者(当事者家族に共依存してしまう支援)」、④「家族全体に力動的変化を促すことが困難な支援者(家族に求められた訪問支援ばかり続ける支援)」などである。 こういった支援の問題点を仮説とし、相談に訪れる親の変化を促すための支援者のためのフローチェックリストを開発することが本研究の当初の予定であった。 研究二年目(令和2年度、令和3年度)は、初年度の作業で明らかになった支援の問題点を整理し、親の変化を促すためのフローチェックリストを作成の上、申請者と協同で支援業務を行っている保健師らから作成したリストに関する意見や疑問点を聴取する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、対面での相談支援や家族会が開催できなかった。その代わり、オンラインを活用した家族会の支援について検討を行った。具体的には、オンラインを活用した相談支援、オンラインを活用した家族会の実施、オンラインを活用した家族同士の情報共有である。 研究計画の最終年度(令和4年度)は、オンラインを活用した家族会の活動の支援の可能性について検証した。
|