2023年度は2021年度に実施した質問紙調査「国立私立小学校の入学志向に関する実態調査」のデータの分析を中心に行いつつ、その結果の一部を学会で報告したり、雑誌で対談、公表するなどした。2023年8月28日の日英教育学会・第32回大会のシンポジウム「英国の独立学校について考える―グローバルに進行するプライヴァタイゼーション?─」において、小針はシンポジストとして招待され、「私立小学校とプレップ・スクール」と題して、日本の私立小学校から見た英国の私立初等教育機関であるプレップ・スクールの特徴・特質について報告した。この内容は加筆修正の上、2024年度の同学会誌『日英教育フォーラム』第28号に論文として掲載の予定である。また、岩波書店『世界』誌2024年2月号において、小学受験、中学受験といった受験・選抜の低年齢化の問題について、社会階層や地域による格差の視点などから、森いづみ氏(日本学術振興会特別研究員RPD)と対談した。
しかし、研究期間中に、先の質問紙調査の分析結果を具体的な数値データで示し、論文などで発表するには至らなかった。それは、本研究課題(小学校受験)に関連して、小針の著書や論文から盗用などの研究不正の疑いが発覚し、その告発や調査に要した手続きや時期に起因する。2023年1月に、小針の研究の先行性と独自性を確認すべく、被告発者の所属研究機関に、研究不正を告発した。調査の結果、被告発者の2022年刊の新書において、小針が先行発表した論文や著書からの複数の盗用が認定された。ただし、この間、本課題による研究活動は中止を余儀なくされたため、今後、一刻も早く研究活動を再開し、その遅れを取り戻したいと考えている。
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