本研究は近代日本の軍事・文民両エリートの選抜制度・実態を検討しつつ、業績主義的な度合いと政治的秩序との関係性を検討するものである。なお、比較対象として、同じく非西欧後発国であるブラジル、タイにおけるエリート層の分析も進めた。 非西洋エリアは西欧先発国とは異なり、エリートを学力や試験による選抜で輩出するという特徴を有しており、したがって、軍事・文民エリートそれぞれの「業績」「選抜の度合い」が彼らの心性に大きな影響を与えていたことを明らかにした。併せて、後発国における政治集団間の葛藤を考えていくうえで、「業績主義が徹底している集団ほど心理的に優位に立つ」という視点の重要性を提示した。
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