研究課題/領域番号 |
19K02540
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大島 真夫 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (60407749)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校から職業への移行 / 新規学卒一括採用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,新規学卒一括採用という慣行が,学校から職業への移行において果たしている機能を解明することにある。研究実施計画では,補助事業期間初年度にあたる2019年度に,学校から職業への移行に関する先行研究の検討および先行調査の結果等のレビューを行い、2年目以降に実施予定の調査に関して調査項目や調査方法の検討等の準備を行うこととなっていた。この計画に従い,2019年度は先行研究および調査の検討等を行うとともに,関東地区と関西地区において2019年9~12月に大学の就職指導職員ならびに新卒応援ハローワーク職員へのインタビュー調査を実施し,2020年3月卒業生の状況を中心として現状の把握を行った。主な知見は以下の通りである。(1)好景気を反映して,学生・生徒の内定獲得は概ね順調であり,企業側の人材獲得競争も過熱気味で早期に人材を確保しようとするために,就職活動スケジュールの前倒しが見受けられる。(2)その一方で,なかなか内定を獲得できず,大学による就職指導が必要な学生も一定数おり,この状況は景気が良くなった状況においても変わらない。(3)ここ数年の就職活動ビジネスの拡大に伴い,新卒学生向け就職エージェント(有料職業紹介)の利用が少なからず見受けられるようになってきた。(4)大学就職部の業務に就職活動ビジネスを取り入れる動きが一部で見受けられるが,就職活動ビジネスが学生本位でサービスを提供するかどうか懐疑的に見る大学就職部も多い。(5)新卒応援ハローワークは,近年規模が縮小傾向にあるが,大学での就職指導を十分に受けることができなかった学生の受け皿になっているなど,セーフティネットとして重要な役割を果たしている。(6)障害のある学生への支援は,近年重要性を増しているものの,大学や新卒応援ハローワークにおける対応は整備途上にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に基づいて2019年度に行う予定だった研究が順調に進んでおり,かつ次年度実施予定の調査に関してパイロット的な調査を関東・関西の2地区で実施することもできたことから,本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究実施計画に基づいて研究を進めたい。2020年度は大学卒業者向けの調査のを予定しているが,新型コロナウイルス感染症の影響で2021年3月卒業者の就職活動に大きな影響が出ている。この状況を把握するために,予定通り2020年度内に調査を行った方が良いのか,それとも2021年3月卒業後の進路が確定した状況で2021年度当初に調査を行った方が良いのか,慎重に検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に予定していたインタビュー調査が新型コロナウイルス感染症拡大のために実施不可能となり,旅費を使用しなかったことから2019年度に未使用額が生じた。2020年度に改めて実施予定のインタビュー調査に充当する予定である。
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