研究課題/領域番号 |
19K02542
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
横田 雅弘 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (90200899)
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研究分担者 |
佐藤 郡衛 明治大学, 国際日本学部, 特任教授 (20205909)
山脇 啓造 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (30230600)
岸 磨貴子 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (80581686)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中野ダイバーシティフェスタ / 中野ダイバーシティ・ウォッチャーズ / 中野ダイバーシティ曼荼羅 / マイノリティ / 現場生成型研究 |
研究実績の概要 |
コロナ禍で中野区での実践がしにくい状況にあったが、研究代表者の横田が審議会副議長として進めていた「中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例」が2022年4月1日に発効されたのを受け、科研で構想した中野区のダイバーシティ状況をウォッチする区民組織「中野ダイバーシティ・ウォッチャーズ」の結成とこの組織が中心となって運営するアプリ「中野ダイバーシティ曼荼羅」の構築を進めた。 また、これまでオンラインで実施してきた中野ダイバーシティ・ディのセミナーをコロナの規制緩和を受けて満を持して対面での大規模イベント「中野ダイバーシティフェスタ2022」として開催した。これは、2022年11月13日に明治大学中野キャンパスのほぼ全ての施設を会場として、中野区の37の団体と中野区役所と連携したダイバーシティの祭典と言えるもので、科研メンバーと指導学生らが多数参加し、700人を超える参加者があった。 このイベントを機に、マイノリティの当事者・支援者団体を中心とした多様な団体が「バラバラにやるだけじゃなくて、みんなつながってやろう」という科研のスローガンのもとに集結し、2023年3月12日(日)に中野キャンパスで開かれたラウンドテーブルで、中野区のダイバーシティ推進の状況を継続的にウォッチし、また自ら推進する人々の組織「中野ダイバーシティ・ウォッチャーズ」(任意団体)が結成された。ここでは、科研メンバーの他、外部研究協力者となっている電通ダイバーシティ・ラボなども参加し、中野区の課題を洗い出す手法がワークショップの形で実施された。 このラウンドテーブルは継続的に開催されており、2023年10月には第二回のダイバーシティ・フェスタが中野区のダイバーシティに関わる課題を収集し展示するという形で計画されている。研究成果は2023年3月に論文として発行され、6月の異文化間教育学会大会で発表される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現場生成型研究では、研究者も実際に現場に携わる一員として参加するというスタンスをとるが、コロナ禍でその活動が大きく制限され、まちづくりの現場との接触はオンラインに限られていた。しかし、コロナの規制緩和を受け、中野区の多様なマイノリティ当事者や支援者、関心のある企業、教育機関、行政などが参加する大規模イベント「中野ダイバーシティフェスタ2022」を開催することができ、この実施プロセスと成果から、中野区のダイバーシティの展開を継続的にウォッチする区民組織「中野ダイバーシティ・ウォッチャーズ」が結成され、またウォッチする手法である「中野ダイバーシティ曼荼羅」が具体的に構想された。これらがどのように運営されるかはまだ途上ではあるが、科研の構想が着実に進展した1年であった。ただ、この曼荼羅のアプリは現在構築中であり、運営は最終年度である2024年度に進められるので、「おおむね順調に進展」とした。
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今後の研究の推進方策 |
中野区で発効された「中野区人権及び多様性を尊重するまちづくり条例」の実質化を現場生成型研究として推進する形で進む本科研は、この活動が中野区民で構成される「中野ダイバーシティ・ウォッチャーズ」に引き継いで継続させていく段階に来ている。現在、多様な中野区の参加団体からマイノリティの当事者たちが抱える具体的な課題を収集する作業に入っており、これがすでに2回開催された中野ダイバーシティ・ウォッチャーズのラウンドテーブル(フェスタの実行委員会の機能を果たす)で確認されていく。これらの課題は、アートとコラボするなどわかりやすい方法で、2023年10月29日に予定されている中野ダイバーシティフェスタ2023で展示され、その情報が中野ダイバーシティ曼荼羅を用いて発信していく予定である。 研究者もウォッチャーズの一員として参加する現場生成型研究というスタンスで臨んでおり、この経験は「『人をつなぐ』ダイバーシティのまちづくり~中野ダイバーシティ・プラットフォームの実践から~」(明治大学人文科学研究所紀要第90冊)としてまとめられたが、6月に開催される異文化間教育学会大会でも発表される予定である。 最終的には、現場生成型研究で臨んだ本研究の実践部分を中野ダイバーシティ・ウォッチャーズに移管し、継続的なウォッチを続け、中野を多様性を受け入れるまちにしていく。今年度末には研究としてこの全体像をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で現場での実践・フィールドワークが中心となる現場生成型研究が実施できなかったため、中野ダイバーシティフェスタ2023や中野ダイバーシティ曼荼羅の稼働など計画の主要部分が次年度となった。
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