研究課題/領域番号 |
19K02546
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
吉田 武大 関西国際大学, 教育学部, 准教授 (70512846)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アメリカ連邦政府 / 教育財政 / FIPSE / FIRST |
研究実績の概要 |
今年度は、アメリカ連邦政府の一組織である中等後教育改善基金(以下、FIPSE)と学校及び教育方法改善・改革基金(以下、FIRST)を対象として、FIPSEとFIRSTの実施する補助金事業が教育プログラムの開発・改善に対する支援以外の特質も有していることを明らかにする研究を実施した。具体的には、FIPSEの運営する補助金事業の教育財政制度上の特質と、その初等中等教育への適用可能性について検討を行った。 従来、連邦政府の教育財政をめぐって、高等教育と初等中等教育においては、それぞれ異なる問題関心のもとで研究が積み重ねられてきた。しかし、FIPSEのような教育財政制度上の特質を有する連邦補助金が初等中等教育にも存在しうることが考えられることを踏まえると、同じ問題関心のもとで研究を実施できるという意義がある。 そこで上記の目的を達成するために検討を行った結果、次の4点が明らかになった。第1に、FIPSEにおける財政援助の特質として、限定的な裁量性を付与した上で競争的な補助金を支給していることである。第2に、FIPSEにおける補助金の管理の主な特質として、成果を普及していることである。それ以外には、アカウンタビリティや補助金の業務管理といった特質が挙げられる。これら2点の特質をFIPSE型教育財政制度の枠組みとして構築した。第3に、関連する先行研究の検討の結果、FIPSE型教育財政制度の枠組みは、初等中等教育を対象とした先行研究ではみられないものであったということである。そして第4に、FIRSTの検討を通じて、FIPSE型教育財政制度は初等中等教育における連邦補助金にもみられるものであったということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、資料を収集し、現地調査を実施した。そしてこれらをもとに収集した資料等の分析を行い、その成果を学会で発表した。しかし、最低限必要な資料等を収集したにとどまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、今年度の研究課題に関する資料を追加的に収集すること、また、FIRSTがどのような経緯のもとで制定され、展開していったのかを検討していくことが挙げられる。 今年度は、FIRSTの法規上の特質を検討するにとどまった。今後、FIRSTがどのような経緯で制度化され、どのような展開過程をたどったのかを分析することで、連邦政府による初等中等教育における補助金事業のなかでのFIPSE型教育制度の位置づけがより明瞭になると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年明け以降のコロナウィルス感染防止の関係上、資料収集活動を十分に実施することができなかったため。 そこで、次年度には、今年度の研究課題に関わる追加の資料収集活動を実施するとともに、次年度の研究課題である、FIRSTの制度化の経緯に関する資料収集活動も合わせて実施していく予定である。
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