研究課題/領域番号 |
19K02548
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研究機関 | 関西女子短期大学 |
研究代表者 |
西 美江 関西女子短期大学, その他部局等, 教授 (20515895)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | career academies / rigor / relevance / integrated curricula / equity / detracking |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、公正性を追求した後期中等教育段階の統合カリキュラムの開発を、関連性(relevance)と厳格性(rigor)の観点から分析することである。そこで2020年度は、米国ハイスクールで代表的な事例に位置づくキャリア・アカデミー(CA)を研究対象として、CAの質保証の枠組みである「全米実践基準」(2004)が公表された2000年代中頃までのカリキュラム開発を中心に分析を行った。CAとは、生徒を進学するか否かによりトラッキングするのではなく、すべての生徒を4年制大学を含む進学と就業の双方へ準備することを企図する取り組みである。カリフォルニア州では、1980年代以降、州施策として推進されてきた。結論として、CAのSLC(Small Learning Communities)の構造は、従来、生徒への対人的支援の側面から重視されてきたが、それだけでなく、進学準備科目(厳格性)と職業科目(関連性)の履修を両立するための基盤になっている。次に、CAの質保証の枠組みである「全米実践基準」(2004)は、青年期の進路選択と結び付いた関連性と厳格性の結合をCAの特質と位置づけた。州補助金によるカリフォルニア・パートナーシップ・アカデミー(CPA)は、リスクを抱えた生徒の在籍が多いにもかかわらず,生徒を進学と就業の双方に準備することに一定程度成功している。しかし、1990年代にCPAが実施した統合カリキュラムの開発において、関連性と厳格性を結合するための方略までは確立されていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨年春以降、現地調査が実施できない状況にある。そのため2020年度は、2000年代初期までのキャリア・アカデミーの発展を文献研究により実施し、オンライン学会において自由研究発表を行った。その時の発表内容を論文にまとめ、現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度に明らかになったキャリア・アカデミーの到達点と限界を踏まえ、その発展形としてカリフォルニア州で開発された「関連づける学び」(Linked Learning)の特質の解明を課題とする。今年度も新型コロナの影響により現地調査の実施が危ぶまれることから、まずは「関連づける学び」の基本理念に関する検討を文献研究を中心に行い、関連分野も含めた情報収取を実施する。その際、アメリカではウェビナー等を通じた教師向けの研修等が盛んに行われていることから、そうした機会を活用しつつ現地調査の機会を窺う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費の中心を占める海外調査の実施が困難な状況が続いている。本年度末頃の状況次第で、海外調査の実施機会を窺うとともに、研究期間の延長を検討している。
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