研究課題/領域番号 |
19K02550
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研究機関 | 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 |
研究代表者 |
森 利枝 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (00271578)
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研究分担者 |
白川 優治 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (50434254)
山田 礼子 同志社大学, 社会学部, 教授 (90288986)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学修成果 / 学生調査 / 直接指標 / 間接指標 / 国際比較 / 高等教育 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、日本、韓国、台湾の大学生を対象にした学修成果の主観的評価及び客観的評価を比較検討し、大学生の学修状況や、教員からの関与を含む学修環境等のコンピテンシー獲得への影響を明らかにするとともに、客観的評価の信頼性について検討することを目的としている。2023年度は日・韓・台の3か国の大学生計1,052人を対象にした調査結果を共同で分析し、2023年5月に国際学会であるThe 29th Taiwan Forum on Sociology of Educationで発表した。この発表において概説した本研究課題の結論は以下の通りである。 まず、日本、韓国、台湾からの調査参加者の学生に関しては、時間の使い方や大学での経験の性質に大きな違いは見られなかった。台湾の学生に関してSNSを利用する時間が他の2国の学生と比較して長いことが確認されたが、これは調査のタイミングの差が背景にあると考えられる。また、韓国の学生の数理的コンプテンシーと英語のコンピテンシーが他の2国の学生よりも高いという結果が得られた。このことについては大学生としての学修態度や学習時間よりも、大学入学試験において数学と英語の得点に重みづけがされることが影響しているのではないかと推測している。全体として、主観的コンピテンシーと客観的コンピテンシーは互いに強く関連しておらず、とりわけ授業準備のための読書時間は、客観的なコンピテンシーとは関係ないということが明らかになった。 上記より、より有効な客観的指標を含む調査方法を開発する必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は対面での学生調査を前提として計画・設計されたため、新型コロナ感染症の拡大の影響を受けて進捗に大幅な遅延が生じた。補助期間を延長することによって調査とその検討を完了して、現状「やや遅れている」とすべき状況まで達成した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、新型コロナ感染症の影響により対面での学生調査の計画が遂行できず、したがって大幅な遅滞と研究期間の延長を見たが、感染症の鎮静化を待って日本、韓国、台湾の学生調査についての調査結果をまとめ、3つの高等教育システムに属する学生の学修の実態と認知的能力に関する結論を得て国際会議での発表も行っている。 今後はその成果を総合して国際共著の学術論文にまとめることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で対面での学生調査が不可能になり、全体的に研究計画の執行が遅延したため次年度使用額が生じた。 次年度使用額は主に成果発表に用いる計画である。
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