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2020 年度 実施状況報告書

欠席の戦後史-長期欠席、登校拒否から不登校へ

研究課題

研究課題/領域番号 19K02554
研究機関東京外国語大学

研究代表者

加藤 美帆  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60432027)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード登校拒否 / 不登校 / 家庭教育 / 映像アーカイブ
研究実績の概要

本研究は、現在不登校と呼ばれる学齢期の子どもが学校に行かない現象について、戦後から今日までの変遷を検討することで社会の構造変動と欠席現象の関係を明らかにすることを目的としている。本研究は、戦後の長期欠席問題化過程の詳細な分析や、1980年代の登校拒否の問題化からおこっていった社会運動の意味の検証、そしてそれらの現代への影響の検討から欠席現象を包括的にとらえ直すことで、欠席現象を通じた戦後史を明らかにし、公教育のあらたな形の模索に資する基礎研究となるものである。
本研究の学術的な独自性とは、これまで局所的な検討しか行われてこなかった長期の欠席という現象を、通時的かつ包括的に検討することにより、社会の構造変動と欠席現象との関係を明らかにしようとする点である。具体的には、以下の三つの時期に焦点をあてて検討を行う。この三つの時期に焦点をあてるのは、これまでの研究から欠席の社会的な意味の変化、長期欠席者の数の両面からみて特徴的であるためである。
1)占領期から1950年代にかけての長期欠席の問題化と解決
2)1980年代における登校拒否の問題化過程
3)教育機会確保法成立(2016年)前後における新しい動向
以上の計画にもとづき研究をすすめているが、2020年度の研究実績としては、これまで調査をしてきた1980年代における登校拒否の問題化過程についての映像アーカイブについての分析を深め、論文化したことである。当時の登校拒否をめぐる議論が、家庭教育振興策のなかで学校問題を家庭の問題とするとらえ方が強まっていったことと関連していたことを実証的に明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画の一部ではあるが、成果を論文として発表することができた(発行は2021年5月)。2019年度末から新型コロナウイルスの感染拡大がつづき、調査等に制約がある状況が続いているが、現状、それ以前に行った調査資料および文献探索から可能なかたちで成果を出すことができている。

今後の研究の推進方策

戦後から1950年代にかけての長期欠席者調査の位置づけの検討に本格的な着手を行う予定である。教育の戦後史についてはこの10年で研究がすすみつつあり、児童福祉、家族研究との関連づけた長期欠席の検討が可能な状況になっている。現在の新型コロナウイルスの感染拡大状況はしばらく続くことを念頭におくと、実行可能であり、かつ研究動向からみてもこの時期の長期欠席についての検討は成果がまたれるものと考えられる。今後は一次史料の探索に加えて、それらの関連領域の研究動向を踏まえた長期欠席研究を行っていくことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう出張のとり止めなどにより、当初予定していた予算の使用を次年度以降に変更したため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 登校拒否の問題化と家庭教育への政治的注目2021

    • 著者名/発表者名
      加藤美帆
    • 雑誌名

      子ども学

      巻: 第9号 ページ: -

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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