研究課題/領域番号 |
19K02555
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
前原 健二 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 教授 (40222286)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ドイツの教育 / 教員研修 / 中途入職教員 / 教職の社会的威信 |
研究実績の概要 |
2020年度において、本研究は当初予定していた研究活動を進めることができなかった。 海外渡航が全面的に不可能になったため、訪問調査を企画することができなかった。そのため、主に文献調査を進めた。特に、今年度はドイツにおいて近年急速に増加し、教師教育の大きなテーマとなっている「中途入職教員」に関する研修、つまり入職前及び入職後の職業能力の確保、向上に関する施策を整理した。 明らかにしたのは次のような点である。①ドイツの現職教員研修は従来あまり盛んではなかったが、それは入職前の養成教育が手厚く整備されていること(学部3年修士2年に加えて2年程度の試補勤務を経て正規の教員資格が取得できる)と関連しているが、近年、この経路とは異なる「中途入職」の教員が増加している現状がある、②これらの中途入職者の中には、事実上、ほとんど教員としての養成教育を受けずに学校現場に入るケースもある、③軽減された形で大学における養成教育の中途から、また試補勤務から養成教育を受けて学校現場に入るケースもある、④入職後に研修を通じて正規の教員としての位置付けを与えられる場合と、その位置付けを与えられない場合がある、⑤ドイツ全体でみると中途入職者の研修は多様であり、統一された仕組みは存在しない。 こうした動向が全体としてのドイツの教職の職業的専門性と社会的威信の低下につながるという危惧もあり、一般の教員の職能成長の企画である現職教員研修にも一定の影響を与えると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は、ドイツのいくつかの州において進行中の現職教員研修の新しい制度的取り組みに関する訪問調査を主な内容としている。2020年2月下旬から3月初めにかけて初発の訪問調査を実施した後、海外渡航が全面的に不可能になったことが研究活動が滞っている理由である。 文献調査については一定の進捗をみたが、訪問調査を前提とした具体的なターゲットを定めた資料の読解は進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度当初において、海外渡航が可能になる状況にはないため、①訪問調査を前提としない文献調査を中心とした活動に切り替える、②研究期間の1年間の延長を念頭において計画を練り直す、という対策を考えている。 文献研究について、当初計画の州を絞った調査、検討から、対象を広げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたドイツへの訪問調査の見通しが年度当初、年度途中においてまったく不透明だったため、主に旅費に充当することを予定していた経費の使用計画を立てることができなかったことが科研費を使用できなかった理由である。 令和3年度中に海外渡航が可能になることを想定した計画と、年度中に海外渡航が可能にならないことを想定して研究計画を見直す。海外渡航が可能にならないことが確定した時点で、研究期間の延長を計画する。
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