研究課題/領域番号 |
19K02555
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
前原 健二 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 教授 (40222286)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドイツの教育 / 教員研修 / 教員養成 / 教師教育 / ワーク・ライフ・バランス |
研究実績の概要 |
コロナ感染症に関わる渡航制限のため、本研究の実施は大幅な変更を余儀なくされ、当初の計画のとおり進めることができていない。研究改革の中心である現地調査ができないため、本年度は文献資料の整理及び本来の調査対象の一つであるドイツの専門職団体の機関誌へ、関係づくりと問題提起の意味を含めた研究論文の提供を行った。 具体的には、ドイツ教員養成協会の学会誌に「Lehrkraefteausbildung und Lesson Studies in Japan(日本の教員養成とレッスン・スタディ)」という研究論文を寄稿した。そこでは、正規の教員としての入職までに長期の養成を必要とする「重量型」の教員養成システムをもつドイツと比較した場合、日本の教員養成は小学校一種免許の取得においても「軽量型」、中高一種免許の取得については「超軽量型」と言えること、それにも関わらず教員の授業力が国際的な評価において高く評価されるのは教職についた後の研修、特に日常的な授業実践に焦点化して行われる授業研究(レッスン・スタディ)の効用が大きいと考えられること、しかしそうした研修がしばしば教員のワーク・ライフ・バランスの悪化を招く原因ともなっていることを指摘した。その上で、「重量型」の教員養成はしばしば「研修無用論」と結びつきやすいこと、社会環境の変化のスピードの上昇は効果的な研修の必要性を高めていること、ドイツにおける教員のワーク・ライフ・バランスと研修の強化を両立させる工夫が求められていることを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ感染症に関わる渡航制限のため、現地調査が実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
渡航制限の緩和が進み、現地への訪問調査が可能になり次第、必要な情報を得るための調査を実施したいと考えている。 現地調査が実施できない場合には、研究計画の中に含んでいなかった歴史的研究(教員養成と教員研修の19世紀以来の展開)、または同じドイツ語圏のオーストリア、スイスなどの教員研修に関する基礎的な研究に着手することを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツへの渡航を伴う調査を実施できないことによって旅費及び関連物品の購入ができないために次年度使用額が大きな値となっている。2022年度中に渡航制限が緩和されることを想定して、迅速に渡航ができるように事前の準備を改めて進め、訪問調査予定先との連絡をとる。
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