研究課題/領域番号 |
19K02557
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高橋 英児 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40324173)
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研究分担者 |
藤井 啓之 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (70253044)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 暴力予防 / 学校 / 学校づくり |
研究実績の概要 |
研究3年目である令和3年度は、昨年度に引き続き、コロナ禍のためできなかったニーダーザクセン州およびノルトライン=ヴェストファーレン州への現地調査の可能性を探りつつ、①ニーダーザクセン州およびノルトライン=ヴェストファーレン州を中心に暴力予防関係の各機関の情報収集、②コロナ禍前後のドイツ全体の学校における暴力問題の動向(各種調査)の調査等を行った。 現地調査については、コロナ感染症の拡大が収まらず、現地調査については中止せざるを得なかったが、①に関わっては、オンラインによる会議で、ライプツィヒ大学(ザクセン州)のDrink教授およびビーレフェルト大学(ノルトライン=ヴェストファーレン州)のAmrhein教授各氏から、各州の教育の現状等について情報提供を受け、研究課題に関する情報収集を行うことができた。特に、今年度は、新たにザクセン州についての調査に着手することができた。ザクセン州については、他州と同様に、州・地方行政機関の組織や協会・社団法人などと連携をしながら暴力予防に取り組まれているだけでなく、暴力のない教育の権利という視点からの学校づくりの展開が進められており、暴力予防の取り組みが、生徒間だけでなく教師-生徒間の視点から取り組まれている現状がある。 ②については、ドイツ法定災害保険による報告書(「児童生徒の学校事故に関する調査」)およびドイツの教員組合の一つである教育連盟による調査(「教師に対する暴力」)を基に学校における暴力の現状について明らかにした。前者は生徒が暴力の被害者となるケース、後者は教師が暴力の被害者となるケースに関わる調査であるが、前者からはコロナ禍の2020年度には、暴力に起因する事故が前年度より48%減と大幅に減少している一方で、後者からは、教師が生徒だけでなく保護者から暴力(特に心理的暴力)を受けるケースが問題となっていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度も、研究初年度、2年目で計画した現地調査が行えておらず、ニーダーザクセン州およびノルトライン=ヴェストファーレン州については、州レベルの全体的な取り組みの概要を中心とした調査にとどまっており、都市レベルでの各機関の取り組みや学校レベルの取り組みの実態については十分に調査できていない。また、今年度はザクセン州の調査にも着手したが、州レベルの動向をつかむにとどまっている。一方で、現地の研究者からの情報提供により、ザクセン州およびノルトライン=ヴェストファーレン州については、文献調査では収集し得ない情報を得ることができている。そのため、これまでの研究の遅れとの重なりで「遅れている」と判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ザクセン州ないしノルトライン=ヴェストファーレン州、ザクセン州に関する資料収集・文献調査を行う。また、行政などの公的機関だけでなく、非営利法人などの民間機関による全州にわたるプロジェクトなどの取り組みについても情報を収集していく。 なお、令和4年度は、コロナ禍による制限が緩和され、ドイツ国内の調査が徐々に可能となっている現状をふまえ、現地の研究協力者へ相談しながら、可能な州から現地調査を行う。また、オンラインでの聞き取り調査で代替可能な内容については、現地の関係者と相談しながらその可能性も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度・2021年度に予定していた現地調査(連携協力者も同行)がコロナ感染症拡大のため実施できなかったため、旅費等の予算を次年度に繰り越しをしている。2022年度についてもコロナ感染症の拡大状況を見ながらではあるが、現地調査のための予算として使用していくことを計画している。
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