今日の日本の子ども・若者の能力主義・競争意識の現状についての実証的な知見を得ることができた点に、本研究の成果の学術的・社会的意義がある。その内容は、旧調査の時期から新調査の時期にかけて、全体的に若者の間に能力主義・競争意識がより広範に浸透しているという変化の傾向がうかがわれるということだった。かつ、その意識の性質として、能力主義的であることをはじめとする既存社会秩序を是認した上で、その中で、首尾よくやっていくことができる者として自分自身のことも肯定し幸福感をもって暮らすことができる、そのような者が抱きやすい社会意識としての性格が強まっているという傾向がうかがわれたというものであった。
|