研究課題/領域番号 |
19K02567
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
林原 慎 福山市立大学, 教育学部, 教授 (10615602)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際バカロレア / 総合的な学習の時間 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本で実施されている国際バカロレアのうち,初等教育プログラムに焦点を当て,その特徴及び効果について明らかにするものであった。特に日本の「総合的な学習の時間」に応用できる可能性がある「探究の科目(UOI)」に注目して国内外の国際バカロレア・初等教育プログラムを調査する予定であった。 しかしながら,新型コロナウイルスの感染拡大を受け,海外はもとより,国内での学校視察も制限がかかっている中,研究の方向を修正する必要性もあった。文献調査を中心に,研究を進めつつ,「社会情動的スキル」と「主体的に学ぶ力」がどのように関連があり,それらが国際バカロレアのプログラムの中でどのような関連性があるのかを整理した。その中で,OECDが提唱する「社会情動的スキル」とパーソナリティ心理学に位置付けれられる「性格特性5因子(Big Five)」との関連,国際ボカロレアにおける「10の学習者像」との関連性が明らかになってきた。これらの分析から,UOIで行われている実践の中には,日本の総合的な学習の時間に応用できる可能性があることが確認できた。 2020年度は,2019年度に行った調査結果をまとめる段階にあり,日本教育工学会誌に投稿し,査読審査の結果,「小学校「総合的な学習の時間」の達成感に影響を及ぼす要因」が掲載された。また,国際バカロレアと同様に社会構成主義的な教育を行っているイエナプラン教育の実践を参考にした研究を行い,「イエナプラン教育を手がかりとした「総合的な学習の時間」が小学生の主体的に学ぶ態度に及ぼす効果」を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大により,海外での調査は見通しが持てず,国内での調査にも制限がある。2019年度後半からは調査自体を行うことができず,2020年度は,これまでの調査から得られたデータを分析し,論文化を行っているが,本来の研究目的を若干修正しつつ,実施している状況である。2020年度は,アンケート調査を行うための尺度の開発のために情報収集に注力したが,研究に関する必要なデータを全て収集することには限界があると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,日本の小学校において,「総合的な学習の時間」がどのように実施され,それらが児童にとってどのような効果をもたらしているのかを調査し,効果を測定するための尺度の開発を行う。同時に,国際バカロレアプログラムだけでなく,類似の社会構成主義的な教育を実施している学校に調査対象を広げつつ,研究を行う。協力を依頼している国内の国際バカロレアの初等教育プログラム実施校と国内の公立小学校の比較を行う。そのために,統計ソフト,情報処理能力のあるパソコン,タブレット等の研究環境を整備し,必要な文献によって,研究が進むよう計画を修正する。なお,予定していた海外での調査は中止する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外及び国内での調査が実施できず,旅費が消化できなかった。見通しが立たない調査については,研究の目的を修正することで,研究を継続できるようにし,それに応じて,必要な書籍,文献等のほか,統計ソフトや情報処理能力の高いパソコンや情報収集用タブレット端末の購入などを計画している。
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