本研究の学術的意義は、「社会的に公正な教育」(あるいは社会正義のための教育)という概念の理論的彫琢と、この規範論的理念の実現形態としてのカリキュラム・教育方法・学校運営に関する実践的探求とを相互連関的・往還的に進めたことにあると考えられ、その社会的意義は、グローバル化を背景として社会的諸条件の有利・不利に関わる不平等・格差問題や、多様な背景を持つ子ども・若者の教育における包摂や参加民主主義という問題への対応が公教育改革においても課題として焦点化されつつある今日、近未来における公教育像の可能な選択肢のあり方の一つを描く上で、一定の示唆を提示することに寄与できるという点にあるように思われる。
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