研究課題/領域番号 |
19K02574
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
出羽 孝行 龍谷大学, 文学部, 教授 (20454530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コロナ禍 / 学びの共同体 / 教育民主化運動 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、実施予定であった韓国の革新学校での現地調査を実施することができなかった。韓国では年度中、小中高等学校は休校、又は分散登校形式で対応していたため、たとえ韓国への渡航が可能であったとしても学校訪問は不可能であった。そのため、本年度の計画の中心であった現地調査を進めることができなかった。 但し、学校の様子などについては現地発行の各種メディアの情報を参照するとともに、研究協力者である現地の現役の高等学校教員とSNSを使用して情報共有を行った。また、先行研究についての読解を行った。それらから得られた知見として以下のような点が挙げられる。 まず、新型コロナウィルスに対応する中、韓国の学校ではオンライン授業への対応が比較的順調に進んでいるとのことであるが、自宅学習を順調に進め、コロナ禍をむしろ学力補充の機会ととらえる生徒がいる反面、学びから遠ざかってしまう生徒もおり、今後、学力の二極分化が深刻化することが懸念されている。こうした問題に対し、革新学校がコロナ禍後にどう対応していくかが重要になってくるだろう。また、日本における革新学校研究の中には、日本の「学びの共同体」理論が韓国の革新学校の中核的理論に位置づいているとの指摘があるが、一方で戦後日本の教育実践との関係性について注目することは意味がある。日本では戦後地域教育開発の実践から公害教育実践に至るまで現場教員が地域と学校をつなぎ、民主的な学校づくりをしてきた実践があり、この事実と現代韓国の革新学校実践とを有機的に考察していくことの意義を見出した。 革新学校は1980年代から韓国で続く教育民主化運動の成果であるが、日本の教育運動との関係性についても触れて研究していくことで民主的学校づくりの意義をより普遍的に示すことができると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的蔓延に伴い現地調査が不可能になった点は、本研究を進めるにあたり大きな影響を受けている。オンラインでの教師へのインタビューも想定手出来たものの、学校自体がコロナ禍に伴い正常活動できていないことから、当該年度は調査そのものを控えざるを得なかった。また、日本の大学でも突然のオンライン授業への対応をせざるを得ず、これが通常の業務量よりも大幅に増加したため、研究時間を圧迫し、予定していた研究活動を十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に遅延が生じている現在、韓国の教育状況に対する情報共有を研究協力者の現地教員と緊密にとりつつ、学校訪問が可能になればすぐに調査活動を再開する準備を行っておく。また、韓国への入国制限が長期化することを視野にオンラインで革新学校の状況を教師にインタビューする準備を進める。さらに、近年韓国で発表された革新学校関連研究のレビューを行い、革新学校が学校民主化に貢献している程度や、貢献の内容についての文献調査を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は新型コロナウイルスのパンデミックによる世界的な海外渡航制限により、海外調査を実施できなかった。また、韓国から専門家、実践家を招いてのシンポジウムを開催できなかった。そのため、旅費を使用することができず、そのため次年度使用額が生じた。
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