研究課題/領域番号 |
19K02574
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
出羽 孝行 龍谷大学, 文学部, 教授 (20454530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学生人権 / 社会共創 / 革新学校 |
研究実績の概要 |
本年度は新型コロナウイルスの影響で現地訪問を行えなかったため、研究活動自体も限られたものとならざるを得なかった。インタビューや資料収集もほとんどできなかった状況の中、6月に京畿道学生人権条例制定に尽力した教師のインタビューを海外とつないだオンラインで実施することができた。インタビューにおいては、韓国の学校文化の中で全国教職員労働組合(全教組)が果たした役割と限界について知ることができた。 また、異文化間教育学会全国大会特定課題研究で「異文化間教育実践における社会の共創-葛藤を抱えつつ-」のテーマの下、話題提供の役割を行い、異文化間教育学の立場から社会共創について論じた。このことを通じて、韓国で実践されている革新学校の取り組みも社会共創というキーワードを通じて捉えられる可能性があることを見いだした。具体的には生徒と教師の関係性、教師と教師の関係性を組み替えていくことによって新たな学校を構築していくことは教師自身が生徒や同僚とともに新しい学校を「共創」していくことに通じるということである。但し、異文化間教育学の視点から革新学校を捉えるという視点については論文化にまでは至らなかった。 また、近年日本でも社会的に関心が高まっている、いわゆる「ブラック校則」問題に関連して韓国の学生人権条例に関する雑誌特集にインタビュー記事が掲載されることになり、改めて日本社会に児童生徒の権利が保証された学校を創っていくことの必要性を訴えることができた。革新学校そのものについて直接触れたものではないものの、革新学校へつながる韓国の一連の動きについて紹介できたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度より引き続き、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)のため、海外調査が行えず、国内での活動も制限がある中、研究を進めることが困難であった。また、これは他の大学教員にも共通のことであるが、2020年度から続くオンライン授業導入による事前、事後の準備活動によって相当の研究時間が割かれることになり、当初の研究計画を実施することが難しくなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は新型コロナウイルス流行による活動制限が国内的にも国際的にも緩和の傾向であり、状況によっては海外調査を行える可能性がある。また、他大学教員が主催する科研にも関与することで、本科研研究と相乗効果が期待される。さらに、オンライン授業も解消の方向であり、オンライン授業実施にかかってきた労力を本科研研究の遂行に割ける可能性が出てきたため、今年度は研究を進捗させられる可能性が大きい。 新型コロナウイルスが完全に収束していない以上、韓国の学校での調査そのものは困難が予想されるものの、現地へ渡航しての教員インタビューや資料調査などは実現の可能性が出てきたため、これまでの遅れを一定程度取り戻すことができるのではないかと予想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は新型コロナウイルスの世界的流行のために、各国で入国制限が行われており、予定していた韓国に渡航しての調査を行うことができなかったため。また、これに関連して各種調査や研究自体も予定通りに進めることが困難であったため。
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