研究実績の概要 |
フィジーでは、民族間緊張の緩和、国民統合の達成が独立以来の最大の課題となっている。しかしながら、これまでのところ国民統合は達成されておらず、民族間の溝はいまだに存在している。その大きな要因の一つが、民族ごとに分離している初等教育の構造にあると考えられる。そこで本研究では、Allportらの主張するContact Theoryを手掛かりに、(1)初等教育における民族間の交流促進が民族間関係の改善および国民統合の発展に寄与する可能性、(2)交流促進の実行可能性の各点についての検証を通して、フィジーの初等教育における民族間交流と国民統合についての総合的な検証に挑む。これらの検証は、主に現地の初等教育機関教員へのインタビュー、生徒へのアンケート調査(他民族の生徒に対してどのような感情を持っているのか)を通して行う。 研究最終年の本年度は、4つの初等教育機関で教員(Head Teacher)へのインタビューを行い、それぞれの学校における生徒の民族比率の状況、民族間交流の状況および民族間関係の把握を行った。また、すべての初等教育機関より生徒に対するアンケート調査実施の許可を得た(令和6年5月~6月にかけてオンラインにてアンケート調査実施の予定)。また、研究協力者であるFiji National University, College of Humanities and Educationの教員の協力のもと、10の初等教育期機関における生徒の民族比率情報を取得し、また生徒に対するアンケート調査を実施することとなった。 本研究期間全体を通して、21の初等教育機関においてアンケート調査を実施した(今後実施分も含む)。
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