研究課題/領域番号 |
19K02593
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 教授 (80178673)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幼児 / リズミカルな動作 / 調整力 / 動きの評価 |
研究実績の概要 |
ヒトの発達過程の中でも、幼少期は神経系機能の発達的変化が著しく、様々な動作を獲得するための基盤を作っていくために非常に重要な時期である。この時期には、調整力、いわゆる器用な身のこなしを可能にする能力が劇的に向上していく。本研究では4歳から6歳の幼児を対象として調整力系動作の発達特性を明らかにすることを目的としている。具体的には幼児の遊びや日常活動にもみられるリズミカルな全身運動に焦点をあて、観察的手法により動作の習熟度評価を行いその年齢的な変化を概観し、それらの動作メカニズムとその発達特性について明らかにすることである。 本年度は、前年度までに引き続き、コロナ感染の影響を受けて、幼児のフィールドでの集団測定・調査や実験室での個別の実験実施については、協力者の確保が難しく十分なデータを収集することが難しい状況であった。したがって、従来実施を予定していた実験に代えて、当初取得した映像データからいくつかの分析を行った。リズミカルな動作としてこれまでにも取り上げていたホッピングを再度見直し、幼児の動作特性をまとめた(学術専門誌「発育発達研究」に投稿し、2022年94号に掲載)。先行研究の動きの評価基準に基づいて上下肢の動作特性を評価すると、4-5歳の間に動作の質的な変容がみられることが明らかとなり、幼児期以降児童期へとさらに動作が向上する可能性が示唆された。 引き続き、これまでの映像データについて分析可能な対象動作を選定し、幼児期の動作発達特性をとらえながら、動きの評価の基盤となる成果を提示していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度当初より引き続いて新型コロナウィルス感染の影響を受けて、幼児を対象とした実験は必要な対象数が確保できず頓挫した状態であった。そこで、本研究の当初に収集した映像データをもとに研究計画ならびに方向性を若干修正した形で行なっている。しかしながら、全般としては遅れており本年度の最終まとめには至らず、再延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
既修得の映像資料を用いた幼児の動作の観察的分析、評価法を用いて、さらにリズミカルないくつかの動作を追加選定し、分析データを収集する。これらを元にリズミカルな動きの発達的特性を明らかにし、その評価法につながる成果が得られるよう最終段階としてまとめていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本年度以降の本研究実施にあたり必要とされる備品、消耗品等を購入し、経費の大半を使用した。次年度のまとめに向けての必要性を考慮し、若干額ではあるが論文投稿に関連する費用等に使用する計画である。
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