研究課題/領域番号 |
19K02595
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
三森 寧子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70633395)
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研究分担者 |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
君塚 仁彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00242230)
高橋 浩之 千葉大学, 教育学部, 教授 (20197172)
竹鼻 ゆかり 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30296545)
齋藤 千景 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50618163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 幼児 / 発達資産 / 健康 / ソーシャルキャピタル / 養護教諭 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
今年度は1年目として、研究の全体の方向性を探ることを目的に、1.文献検討、2.予備調査、3.専門家からの知識提供をおこなった。文献検討は、①幼児教育における健康、健康教育の扱われ方、②保護者の子どもに対する健康意識についておこなった。①に関しては、幼児教育の教科書、幼稚園教育要領等を概観し、「健康」は発育発達に含まれており、周囲が身につけさせるものとして扱われており、指導や教育によって身につけることではないことがうかがわれた。また、②に関しては、子どもの健康への保護者の意識は高いもののその通りに生活できていないといった育児環境の課題が指摘されており、その環境をどのように整えるのか、幼児期からのアプローチが重要であることがわかった。2.幼児のソーシャルキャピタルと発達資産に関する調査のための予備調査では、幼児が健康に発達する要素、幼児の発達資産とは何かを明らかにすることを目的に、幼稚園教諭(3名)ならびに保護者へ、一人当たり平均55分の半構造化インタビューを実施した。幼児が健康に発達するために、〔生活習慣がある〕、〔よく遊ぶ〕、〔家族に愛される〕、〔家族以外の人との信頼関係〕、〔他者を思いやる心〕等が要素として抽出され、「人とつながること」について多く語られていたことから、子供の健康を支援するには家庭や地域社会のあり方が重要であり、今後はソーシャルキャピタルの醸成に着目した支援のあり方を検討する必要性が示唆された。3.専門家より知識提供では、幼児教育の研究者である千葉大学教育学部教授の砂上史子先生より、幼児教育における健康のことや、研究に関する方向性などのアドバイスを得た。幼稚園教諭は幼稚園教育要領にのっとった指導を行っているため、それが発達資産ではないかとのことであった。しかし、ソーシャルキャピタルと健康に焦点を当てて行うことは意義があるとの意見をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、幼児の発達資産とは何か、発達資産の醸成を促すための幼稚園教諭と保護者の要因は何か、ソーシャルキャピタルを核とした発達資産を醸成するための教育プログラムの開発を目的としているが、初年度は幼児の発達資産を明らかにすることを目的とした。そのために研究会議を1回開催し、研究計画を立て、予備調査を行った。またその結果を幼児教育の専門家へ相談した。幼稚園教諭と保護者にインタビューした結果より、発達資産の要素がいくつか明らになったとともにソーシャルキャピタルの醸成の必要性が示唆された。今後はさらにサンプル数を増やしていくことと同時に幼児教育の専門家からのアドバイスにより、保護者に焦点を当てることへ変更修正を検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、幼児のSCと発達資産を醸成するための要因に関する調査として、保護者に焦点をあて、幼児を育てる保護者のソーシャルキャピタルと発達資産を明らかにするための調査ならびに幼児の健康を守り育てる養護教諭の職務の専門性を探るために、以下のように3つの調査を実施する。 調査1 幼児を育てる保護者のソーシャルキャピタルと発達資産に関する調査(保護者へのインタビュー) 調査2 幼稚園養護教諭の職務と保健室の現状を明らかにする さらに、幼児におけるSC、発達資産といった心理社会的資源を形成するために必要な保護者はどのような特性の人なのか 調査3 保護者の心理社会的資源(ソーシャルキャピタル等)と幼児の健康,子育てに関する意識を明らかにする
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に養護教諭への郵送調査を予定していたが、コロナ禍において教育委員会等にアプローチが難しいと判断したためその調査費用分が未使用となり、次年度使用額として生じた。
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