研究課題/領域番号 |
19K02596
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
芦澤 清音 帝京大学, 教育学部, 教授 (20459382)
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研究分担者 |
浜谷 直人 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員教授 (40218532)
五十嵐 元子 帝京短期大学, 帝京短期大学, 准教授 (30468897)
林 恵 帝京短期大学, 帝京平成大学, 准教授 (60759380)
三山 岳 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (80582858)
山本 理絵 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (60249282)
飯野 雄大 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (00737033)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インクルーシブ保育 / 障がい / 多文化 / コロナ禍 / 実践モデル / 保育形態 / 多様性 / 理論構築 |
研究実績の概要 |
7名の共同研究として2020年に都内区立保育園に実施したコロナ禍のインクルーシブ保育調査を追加調査も含め分析し2021年5月の日本保育学会74回大会で研究発表した。『コロナ禍におけるインクルーシブ保育の可能性(1)-保育の取り組みと変化-』『同(2)-自由記述から見た現状と取り組み-』である。本研究で、コロナ禍での保育変化の中にインクルーシブ保育の可能性が見いだされた。また、五十嵐は質問紙調査対象の保育者にインタビューし『コロナ禍における保育の物語とインクルーシブ保育-保育者のインタビュー調査から-』において質的分析を行った。 3年目に入り、インクルーシブ保育の実践モデルの構築に向けて具体的な研究に取り組んだ。芦澤は『インクルーシブ保育を実現する保育形態についての一考察-主体的で豊かな遊びを保障する柔軟な保育をめざして-』 において、保育形態とインクルーシブ保育の関係に注目し実践モデルを提起した。また、山本は『インクルーシブ保育におけるプロジェクト活動の展開方法(2)』『異年齢クラスにおけるインクルーシブ保育の方法-プロジェクト活動の実践分析を通して-』において、インクルーシブ保育におけるプロジェクト活動の意味と可能性について検討した。林と五十嵐は『福井県越前市の外国人集住地域における保育-保育者の意識変容からインクルーシブ保育を考える-』において多文化の実践モデル構築に取り組んだ。 インクルーシブ保育の理論構築を進めた。浜谷は『インクルーシブ保育とはどういう保育なのか』『仲間と共に自己肯定感を感じられる保育-インクルーシブ保育の視点から』五十嵐は『保育の中の「多様性」と「多様性の尊重」を問い直す』において多様性に注目し理論的に検討した。三山は『多様性のある障がいと多文化保育の歴史からインクルーシブ保育を考える』においてインクルーシブ保育を歴史的視点から理論的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度が当初の最終年度であったが、コロナ禍で現地調査等ができなかったこと、海外学会の発表などもできなかったことなどにより研究全般の進捗が遅れたため、研究期間を1年間延長した。海外発表については見直し、コロナ禍で出来る方法で、当初の目的が達成しうる研究内容に切り替えてきた。一方で、コロナ禍でしかできない調査に全員で取り組んだ。コロナ禍という緊急事態において変更された保育の知見から、新たな可能性を確認し、研究の視点が広がった。 コロナ禍においても文献研究及び近隣地域の調査研究は継続してきた。遠方のフィールドワークを伴う研究は、徐々に再開し、データの収集と分析を進めている。また、本科研の共同研究者7名は、定期的にzoom会議を行い、各自の研究報告を行い進捗状況を確認し、理論の検討を進めてきた。2019年度より、毎年共同研究者7名全員で、日本保育学会に研究発表もしくは、自主シンポジウムの開催を行ってきた。2022年度も、5月に自主シンポジウムを開催する(障害と多文化を包括するインクルーシブ保育の可能性(3))。 3年目で、研究の目的である、インクルーシブ保育の実践モデルと理論の構築の根拠となるデータの収集、および、共同研究者間の理論の共有はほぼ終了している。現在、3年間で蓄積した研究成果を整理して、著書(共著)にまとめる作業にとりかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度5月に日本保育学会第75回大会で自主シンポジウム(障害と多文化を包括するインクルーシブ保育の可能性(3))を開催する。2021年度までの実践研究を基にインクルーシブ保育の理論構築の現状を紹介し、議論を通して理論を発展させる。 また、7名の3年間の研究の蓄積を図書として出版する予定である。2022年度は、執筆と編集作業が中心となる。共同及び各自で進めてきたインクルーシブ保育の研究知見を整理総合し理論化を完成させる。理論については、これまでも研究会で議論を重ね共有してきが、さらに実践研究を進めながら理論の完成をめざす。 図書の制作にあたって、本研究の成果を整理集約し、具体的な保育実践をもとにしたインクルーシブ保育の理論を提示する内容となる予定である。 これまで、コロナ禍において、フィールドワークの制約や、海外との交流が難しくなったが、その中で、国内の保育の現状から新たな保育の可能性を検討してきた。 今後は、これまで研究を進めてきたインクルーシブ保育理論と実践を保育現場に具体的に展開し、保育の転換を図っていく必要があると考えている。そのためにも、図書だけではなく、保育現場に研究の成果を伝えるための施策を検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究全体の進捗が遅れたため、次年度に持ち越しとなった研究を実施する。また、次年度を総括の年とし、研究のまとめとして図書の出版を予定しており、継続研究の実施と合わせ、打ち合わせや編集作業に係る費用(出張その他)が必要となる。
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