研究課題/領域番号 |
19K02599
|
研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
上田 麻理 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (70786409)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 高周波音 / 空中超音波 / 耳介 / 頭部伝達関数 / 誤差 / 身の回りの高周波音 / 音響計測 / 超高周波音 |
研究実績の概要 |
COVID-19の影響を受け,ヒトを対象とした実験(可聴閾値の計測と心理評価・生理反応)及び,複数名の人員を要する音響計測の予定から,ヒトを対象としない実験及び,小規模ではあるが詳細な音響計測へ実施内容を大幅に変更して研究を遂行することとなった.そこで,20年度は主に2つの音響計測・実験により空中超音波・高周波音に関する検討を行った.
まず,身の回りの空中超音波を明らかにするために(a)音カメラを用いた空中超音波の音源探査と発生源調査を行った.さらに,可聴閾計測時に頭 (マイクロホン)の位置や角度が変わることで音圧がどの程度変化しているか,また,どの程度誤差が生じているかを明らかにするために,(b)ダミーヘッド(HATS:Head and Torso Simulators)を用いた空中超音波帯域のHRTF(頭部伝達関数:Head-Related Transfer Function)計測を行った.
その結果,音源探査ではLEDライトや電子レンジ,冷蔵庫などの我々の生活で身近な家電製品やHV・EV等の自動車からも20 kHz程度の空中超音波が観測された.HRTF計測では周波数やマイクの位置が変化するとΔLの変化が生じることがわかった.また,マイクの位置の違いによって , ΔLに10 dB以上の差があることからVHF音の聴取レベルの変化は耳介や位置の変化が影響していることが実験的に分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響を受けて2020年4月から8月は所属大学の入構禁止,さらに,ヒトを対象とする実験の自粛などの措置が取られたため,当初の研究計画を大幅に変更せざるを得ない状況となった.科研費担当の事務方との相談ののち,ヒトを対象とした実験(若齢者の課長閾計測と心理・生理影響調査)を変更し,ダミーヘッドを使用した実験的検討と複数名の人員を要しない音響計測を行った.変更後の研究の進捗は良好である.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きCOVID-19の状況を鑑みた上で計画していたヒトを対象とした実験(若齢者の課長閾計測と心理・生理影響調査)を行うが,ダミーヘッドを用いた実験,屋内外での音響計測(20年度より規模を拡大)を行う.特に外耳道を有するダミーヘッドでの計測,プローブマイクロフォンでの外耳道での音圧計測方法の検討なども実施予定であると同時に,国際会議,国際誌への成果報告を行っていく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により国際会議,実験が中止になったため大幅に研究計画を変更したため変更が生じたが,21年度もCOVID-19の状況を鑑みた上でヒトを対象とした実験を行うが,完全に実施不可能と判断された場合には期限延長を検討する.
|