本研究は幼児を対象として食事・身体活動を中心とした生活習慣因子と体格・体組成の変化との関連性を評価することにより、幼児期の脂肪の急増および体組成の変化に影響を及ぼす生活習慣因子について解明する。幼児における体格・体組成と生活習慣因子との関連性を解明するため、幼児を対象として①生体電気インピーダンス法(Bioelectrical impedance analysis:BIA法)による体成分分析装置を用いた体組成の測定から体脂肪率および筋量を算出し、②食事・身体活動を中心とした生活習慣因子に関する調査を実施し、③生活習慣情報と体格・体組成との関連性を包括的に評価することで、肥満度による評価では明らかにできなかった幼児期の体重を構成する筋量、骨量および脂肪量の実態を明らかにし、④BMI(Body mass index)の変化に関連する生活習慣因子を同定するとともに、BMIの急増に働くメカニズムについて提唱することを目的とした。 本年度は、2019年度、2020年度の2年間に実施した体組成測定、および質問紙調査から得られた調査結果の一部の解析を試みた。本研究は京都女子大学の臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。その結果、幼児期における体格・体脂肪率の大小には、幼児期早期におけるadiposity reboundの出現の有無が関連する要因として示された。また、骨格筋量の多さは身体活動量と関連していたが、甘い菓子の摂取やテレビの視聴時間といった生活習慣とも関連していた。一方で体脂肪率の多さは身体活動量と関連するとともに朝食や清涼飲料水の摂取、テレビの視聴時間といった生活習慣が関連することが可能性の一つとして示唆された。本研究によって生涯にわたる肥満や生活習慣病の予防について幼児期における対策への応用が期待される。
|