共感的相互作用を重視した身体表現遊びの指導には、保育者が幼児一人の表現だけでなく他の幼児とのやりとりに気づいて「対応」することが必要になる。本研究では、幼児同士の多様な表現を、よく見て理解したり感じたり考えたりすることを「気づき」として捉える。保育者の「気づき」を客観的に捉えるために、ウエアラブルアイカメラを用いて視線軌跡や注視時間及び音声を記録する。共感的相互作用を高め楽しく身体表現遊びの指導ができるベテラン保育者の「気づき」と「対応」を明らかにし、その方法を若手の保育者が学ぶことで、若手保育者も「気づき」と「対応」の指導力を向上させることができるかを検証する3年間の研究を行う。 2019年度に開発した、視線軌跡や注視時間及び音声記録から保育者の「気づき」と「対応」調査方法と解析方法により、2020年度は、保育の現場で、幼児の身体表現遊びについてのベテラン保育者と若手保育者に「気づき」と「対応」の違いを明らかにする調査を幼稚園で実施した。保育者には保育中にウエアラブルアイカメラを装着してもらい、視線軌跡や注視時間及び感じたことなどのつぶやきなどの音声を記録、何をどう見ているかに着目し、①幼児が表現した内容や遊びへの「気づき」、②参加しにくい幼児への「気づき」、③共感的相互作用による表現への「気づき」、④遊びの展開、表現のおもしろさへの共感・「気づき」についての記録と解析研究を進めることができた。 2021年度は、若手保育者がウエアラブルアイカメラを装着して記録したデータを基に幼児の遊びのどこを見ているか、だれを見ているか、何を考え実践したかなど記録した。保育学生同士が模擬保育実践を行い事後保育指導力の向上のため保育カンファレンスを行った。
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