研究課題/領域番号 |
19K02605
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研究機関 | 松山東雲女子大学 |
研究代表者 |
小池 美知子 松山東雲女子大学, 人文科学部, 教授 (60331873)
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研究分担者 |
安藤 千秋 香川短期大学, その他部局等, 教授(移行) (70290583)
赤澤 淳子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (90291880)
桂田 恵美子 関西学院大学, 文学部, 教授 (90291989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音楽的心理教育プログラム / 乳幼児 / 養育者 / 相互交渉 |
研究実績の概要 |
本研究は,乳幼児とその親の応答的な相互交渉を促進するわらべうたやオノマトペなどを取り入れたリトミックのプログラムの開発を第1の目的とし,開発したプログラムを実施し,子育て支援活動に参加する3歳未満の乳幼児とその両親の相互交渉に及ぼす影響を検討することを第2の目的としている。 令和元年度研究初年度は,3歳未満児とその両親を対象として,親子が音楽と一緒に動きながら,両親と子どもの三者が密接に関わり合うリトミックを用いた心理教育プログラムの具体的な活動内容の試作開発を行った。 令和2年度研究2年目は,初年度に開発した3歳未満児とその両親を対象としたリトミックプログラムを対面で実施する予定であったが,コロナ禍の影響によって,対面実施を見合わせざるを得ない状況下となった。このため,オンラインでのリトミックプログラムの実施を視野に,活動内容をオンライン用に再検討することとした。具体的には,1クール4セッション(週に1回,約30分/1回)を想定し,オンライン参加の被験者親子が,リモート画面越しであっても,リトミックの活動内容が容易に理解できるように実際の家族の協力を得て,母親と幼児,両親と幼児による相互交渉を中心としたリトミックモデル動画を作成した。さらに,これらの動画を用いたオンラインリトミックを被験者とは別の小集団にトライアルで実施し,オンラインリトミックの可能性を探った。 観察法による乳幼児と両親の相互作用の測定では,事前・事後・事後3か月後の3回に亘る質問紙項目の具体的な検討を行い,ほぼ確定の段階にある。また,リトミックプログラムにセッション開始前の自由遊び時間をプログラムの一部として位置づけビデオ撮影し,それらのビデオ録画を通した子どもから父親・母親へ向けられた愛着行動,両親から子どもへの応答行動に関する具体的な測定方法について検討の段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度当初計画では,令和元年度に開発した乳幼児とその親の応答的な相互交渉を促進するわらべうたやオノマトペを取り入れたリトミックプログラムを,当初計画通り,3か所の対面実践の予定会場のうち,最初の試験的会場において4月初旬より対面実施する計画であった。しかし,令和2年度当初の全国一斉緊急事態宣言発出を皮切りに新型コロナウイルス感染拡大の状況が続いたため,対面実施の機会をうかがいながらも実施に踏み切ることができない状況となってしまった。 このため,対面実施の機会をうかがいつつも並行してオンラインリモートによる親子リトミックの実施の可能性を探った。オンラインでのリトミックをスムーズに進めるには,オンラインリトミックに参加する被験者親子にリトミックの内容が即座に理解できることが求められる。このため,予め,一連のリトミック活動の場面場面を数十秒単位のモデル動画として作成し,実際のリトミックプログラム実施の際にその動画を活用する方法について検討した。モデル動画の作成にあたって,実際の親子にモデルになってもらう必要があるため,モデル親子に協力を依頼して撮影を行った。動画撮影の具体的な方法は,リトミック活動1セッションの中に含まれる5~6種類程度の様々なリトミックの動作を,各々数十秒程度の長さに収まるように収録した。その際のリトミックの動作には,親子のみならず,両親同士の相互タッチングを多分に取り入れ,親子間,両親間が密接に関わり合えるように企図した。さらには,作成した動画を活用し,被験者以外の小集団を対象としたトライアルなリトミックの実践を行い,オンラインリトミックの可能性を探った。 令和2年度はこれらの準備に時間を費やしたため,被験者親子対象の実験に至るには程遠く,予定通りの進捗には至っていないため,遅れているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度の当初計画では,令和元年度に開発した乳幼児とその親の応答的な相互交渉を促進するわらべうたやオノマトペを取り入れたリトミックプログラムを,当初計画通り,3か所の対面実践の予定会場のうち,最初の試験的会場において4月初旬より対面実施する計画であったが,コロナウイルス感染拡大の影響によって計画を遂行することがほぼできなかった。 このため,令和3年度は,コロナウイルス感染拡大収束の状況を鑑みながら,オンラインリトミックプログラム実施と対面リトミックプログラム実施の双方を視野に入れ,リトミック音楽セッションを要した心理教育プログラムの実践を開始する。 まずは,予定の3か所の実践会場のうち,試験的会場において被験者を募集し,3家族程度から実験を始める。その他の2会場でも同様に,3家族程度から対面実験を重ね,音楽的心理教育プログラムのデータの蓄積を図り,親子の相互交渉の効果検証を検討する。対面が困難な場合は,オンライン用に作成したモデル動画を活用しながらオンラインリトミックを実施し,親子の相互交渉の効果検証の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(2019年度)に続いて2年目の今年度(2020年度)も新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて,リトミックプログラム実践が実施できなかったため,当初計画していたリトミックプログラム実践に関連した物品;デジタルピアノ一式,行動観察スペース用パーテーション等の購入に至っていない。また,対面によるリトミックプログラムの実践に至っていないことから,実践に補助として関わるリトミック音楽アシスタント謝金,音楽的心理教育プログラム参加家族への謝金,学生アルバイト料,プログラム実践会場への出張旅費,プログラム会場の会場費等,これらへの使途が実行されなかったことによって次年度使用額が生じた。 次年度は,デジタルピアノ一式の購入を始め,行動観察スペース用シート,行動観察用ビデオカメラ一式,リトミック音楽アシスタント謝金,音楽的心理教育プログラム参加家族への謝金,学生アルバイト料,プログラム実践会場への出張旅費,プログラム会場の会場費,研究打合せ旅費,等を計画している。
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