今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度までに得られた3,4,5歳児の縦断研究の結果を踏まえながら、再度5歳児の縦断調査を行う。また横断調査として、預かり保育先進園への視察調査を実施する。これらの結果を総合的にまとめ、預かり保育の絵本カリキュラムの作成を目指す。 (1)縦断研究では、月に1回程度、5歳児を対象に①幼稚園の正規の教育時間及び②預かり保育の観察を実施する。これまでの結果をもとに、①幼稚園の正規の教育時間については、以下4点について観察する。(a)絵本との関わり、(b)絵本環境、(c)絵本に関わる活動、(d)学び。場面は、写真撮影とともにビデオ録画し、フィールドノーツへも記録する。加えて保育者へのインタビューを行い、保育者の保育観や絵本の位置づけなどについて尋ねる。②幼稚園の預かり保育についも①同様、4点について観察する。預かり保育の部屋全体を録画できるようにビデオカメラを設置し、写真撮影、フィールドノーツへの記録も実施する。また①同様、預かり保育担当の保育者へのインタビューも実施する。①②は、研究結果を保育者、預かり保育担当者と振り返り、絵本環境の再構成を行うアクション・リサーチの手法をとる。③家庭に関しては、学年末3月に、保護者に対象児の(a)家庭での絵本との関わり、(b)絵本環境、(c)絵本に関わる活動、(d)学びについて問うアンケート調査を実施する。この調査は、全学年を対象とする。(2)横断研究として、預かり保育のカリキュラムを作成、実施している先進園を訪問調査する。 (1)(2)の結果をまとめ、預かり保育の絵本カリキュラムを作成する。また研究成果は、国内の所属学会(日本乳幼児教育学会:12月、会場:名古屋市立大学、及び日本発達心理学会:2024年3月、会場:大阪国際交流センター)で発表するとともに、作成したカリキュラムの冊子を作成するなどして、公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主要な理由は、人件費・謝金の未使用である。人件費として、主として観察の録画データの文字化を計上していたが、協力園のクラス編成及び預かり保育の体制変更を受け、結果の連続性が確保できなかったため、今年度は結果を大きくまとめるに止めた。次年度の結果を見ながら詳細な分析方針を決定し、両者を比較しながら分析を進めていく。次年度は、これまで収集してきたデータを質的、量的に分析しながら、月1回程度の観察の録画データの文字化をアルバイトに依頼し、両方を併せてカリキュラムを作成していく。年度末にはアンケート調査も実施し、分析する。それらをまとめ、預かり保育の絵本カリキュラムの完成を目指す。 ○使用計画 2023年度は1,490,000円の予算を使用する予定である。(a)縦断研究:1,300,000円。内訳は物品費340,000円(データ保存用HD100,000円、絵本・書籍等100,000円、インクトナー等140,000円)、人件費600,000円(データ分析など)、研究協力園への旅費(東京~奈良、12回)360,000円。(b)横断研究:130,000円。内訳は2箇所の視察調査は10,000円(横浜・東京を予定)。その他旅費として、学会及び研修会参加等のための交通費60,000円、学会年会費、参加費等60,000円。(a)(b)の成果として、カリキュラム冊子作成60,000円を計画している。
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