研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼稚園教育要領(2017)において作成が求められている幼稚園の「預かり保育」のカリキュラムを絵本に着目して開発することである。「預かり保育」は、実施形態も利用する園児の実態も多様であるため、カリキュラム作成は容易ではない。そこで本研究では、子どもが生活する場のどこにでもある絵本に着目し、①縦断調査で子どもの生活全般を取り上げ、子どもと絵本との関わりの発達的変化を学びを中心に描き出しながら、②横断調査で先進園を訪問調査し、③「預かり保育」の絵本カリキュラムを開発することを目指した。 2023年度は、これまで得られた3,4,5歳児の縦断研究の結果を踏まえながら、再度①5歳児の縦断調査を行った(4月~2024年3月まで合計11回の観察を実施)。併せて、②横断調査として預かり保育先進園3園への視察調査を実施した。これらの結果を総合的にまとめ、③預かり保育の絵本カリキュラムを開発した。カリキュラムは「つなぐ」「広げる」「むすぶ」の3視点から作成した。「つなぐ」絵本は、家庭・園との連続性に着目し、子どもに安心感を与える絵本である。家庭で読まれている絵本やクラスで読まれている絵本が中心である。「広げる」絵本は、遊びや興味・関心を広げる絵本である。折り紙や紙飛行機など、製作の参考になる絵本や、昆虫・草花など生き物図鑑、季節の自然、行事絵本の他、子どもが生活する地域(ふるさと)に関わる絵本も含めた。子どもたちの探究を支える絵本でもある。また、じっくりと絵本を読みたい子どものために物語絵本も加えた。「むすぶ」絵本は、子ども同士の関係を結ぶ絵本である。しかけ絵本や、探しっこ絵本、ユーモア絵本など、1人で読むのではなく友達と一緒に遊びながら関わり合いながら読む絵本である。これらの絵本を1年間の園生活の流れに合わせ、子どもの姿、ねらい、及び環境の構成と保育者とともに提示した。
|