研究課題/領域番号 |
19K02617
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
新田 收 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80279778)
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研究分担者 |
松田 雅弘 順天堂大学, 保健医療学部, 先任准教授 (40453485)
楠本 泰士 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (60710465)
小山 貴之 日本大学, 文理学部, 教授 (80579110)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達障害 / 小児 / 感覚 / 感覚障害 / 運動発達 / 発達性協調運動障害 |
研究実績の概要 |
未診断の発達障害傾向のある幼児の運動能力を知るため,感覚刺激受容の偏りを有する幼児の運動能力を明らかにすることを目的とした.定型発達児75名(月齢52か月から82か月)を対象とした.感覚刺激の受容の偏りについて日本感覚統合インベントリー短縮版を用いて評価した.日本感覚統合インベントリー短縮版(JSI-mini)の結果より感覚刺激受容に偏倚がない群(n=69)と偏倚が疑われる群(n=6)に分けた.運動能力について,体支持持続時間,長坐位体前屈,片脚立位保持時間,立ち幅跳びを測定した. この結果,感覚刺激受容に偏りを有したのは男児のみであり,感覚刺激受容の偏りには性差がみられたため,男児の結果について分析を行った.感覚刺激受容の偏りがある児において,体支持持続時間および立幅跳びが有意に短い結果となった.感覚受容の偏倚を有する幼児は,偏りを有さない幼児に比較して運動能力に差がある可能性が示唆された. JSI-miniにおいて「若干,感覚刺激の受け取り方に偏りの傾向が推測される状態」もしくは「感覚刺激の受け取り方に偏りの傾向が推測される状態.すなわち,ある刺激に対して過敏や鈍感であるような状態」にあったのは6名であった.文部科学省によると通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒は6.5%と報告されており,本研究の対象はより年少な幼児であることから,概ね妥当な結果であったと考えられる. 感覚刺激受容の偏りは,運動出力の持続を困難にし,体支持持続時間のような姿勢保持を要する課題遂行に影響することが推測される.また, 感覚フィードバックから適切な運動プログラムを実行することおよびフィードバックから運動を修正することが難しく,跳躍距離が短くなったと推測される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
0歳から3歳までの研究フィールドが確保できたため,今後継続的に対象児を評価分析可能となると思われる.本年度は,感覚と運動発達について先行して分析を行った.このデータをもとに,被験児の経過を追い,分析する.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,2019年度対象とした被験児とともに,発達性協調運動障害の診断を持つ児についても同様の評価分析を行う. 評価結果は,多角的評価を統合し,個々の特徴を理解しやすい形で表す,「発達性協調運動障害プロファイル」の書式を整える.ここの特徴把握には,これまで開発を続けてきた,発達障害児対象の,評価結果レーダーチャートをもとに,新たな評価項目を加え,「DCDプロファイルチャート」として完成させる.評価方法の開発とともに,運動指導法を項目ごとに開発を進める. 「感覚入力」「姿勢制御」「協調運動」「運動イメージ」4領域について,低難度から,高難度にわたる運動指導を整理し,これらの指導方法を開発する.地域通所施設へ導入し,経過の分析段階にある.これらの,指導方法を発展させ,DCDのための指導方法を開発整理する.指導領域は,新たな領域を加え,「感覚入力」「注意」「空間認知」「姿勢制御」「協調性」「運動イメージ」について行う.これらは,難易度を設け,詳細な指導手順はマニュアル化する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に計画していた,指導方法の開発を来年度へ送ることとしたため
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