研究課題/領域番号 |
19K02618
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
伊崎 純子 白鴎大学, 教育学部, 教授 (00341769)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 母子相互交流 / 縦断的観察研究 |
研究実績の概要 |
乳幼児健診において母子の関係性を捉える視点を提供する基礎データの収集を目的に、日本の母子の相互交流を0歳から5歳まで追跡調査を行っている。本研究で収集された基礎データは愛着障害と発達障害のスクリーニングと予防を可能にする、関係性をチェックする項目の精緻化のための資料となる。 2023年度(令和5年度)は、体調不良や転居等の家庭都合によるキャンセルを除き、延べ12組の撮影を行った。新規の撮影協力者は2名であり、両名ともこれまでの追跡児のきょうだいや知人の紹介により研究参加に至った。両名とも生後4ヶ月から撮影を開始し、追跡中である。 また、2020年度より統計的な検討とは別に分析することの同意を得て本研究に参加している男児(13トリソミー;パトウ症候群)は施設入所中であるが、面会や帰宅時に合わせて保護者の協力のもと撮影を継続し、成長の状況を共有している。2022年度より開始された栃木県内の児童精神科医師・保健師・心理士(師)等とのオンライン勉強会は、2023年度も定期開催された。 研究代表者と研究協力者は「第14回 甘えと間主観性研究会 全国学術集会 栃木大会」開催に携わり、ミニレクチャーの講師も務めた。関連して開催された「ロバートソンフィルム」の学習会は研究協力者が主体となり、今後も不定期開催を計画している。そのほかに「全国乳児院職員研修会」「日本乳幼児精神保健学会 第3回JAMIH学術集会」で、研究協力者が個別に事例を取り上げて発表を行った。また、研究代表者はJAPAN-IPP(乳幼児-親心理療法)のセミナーシリーズにオンラインで参加し、乳幼児観察をベースにした介入の方法について最新の知見を学んだ。 さらに、2024年度の世界乳幼児精神保健学会にもエントリーし、本研究の事例が臨床研究ポスター発表として受理されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、新規に2組の生後4ヶ月の撮影を開始し、現在までに研究に参加している母子は29組(男児16名、女児13名、現時点での年齢は1歳から11歳)となった。生後3ヶ月未満から撮影を始めた母子は12組、4ヶ月から撮影を始めた母子は17組である。本研究で比較検討を予定している生後4ヶ月のデータに限れば、27組(男児15名、女児12名)のデータが収集され、統計的な検討も視野に入りつつある。 一方で、一事例ずつ縦断的に映像を見直して国内外で結果の発表を続けているが、全ての事例の文章化には至っていない。最終的なまとめに向けて母子ともに初対面児の観察結果と事前に複数回面識を持った後の観察結果に関する生後4ヶ月時点の比較検討も、実施途上にある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に続き、生後4ヶ月時点での映像の文字起こしに注力し、当初の目的だった家庭と家庭外の母子相互交流に差異があるかを検討する。次に事例研究として国内外の学会・研修会等で発表した事例を中心に、これまで発表してきた事例の冊子化を行いたい。DVD化に代わる方法として、一部の映像はYou Tubeで限定公開を始めた。本研究の課題だった「安全な映像資料の視聴」と「母子の関係性を捉える視点を示す映像の選択」も継続して進めたい。現在は限定公開だが、一般公開が視野に入る時の同意書の準備はすでにできているため、実行前には保護者に改めて公開の同意を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
DVD化はYouTubeの利用に替え、冊子の制作を予定していたが、事例の書き起こしが不十分だったため冊子制作を見送ったことから次年度使用額が生じた。2024年度の国際学会(WAIMH,フィンランド)での発表が受理されたことから、残額はその渡航費の一部に使用する予定である。
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備考 |
上記は限定公開です
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