本研究は、二人称的アプローチにより、乳児の仲間とのかかわりあいのありようを明らかにすることを目的として、下記2点の観点からデータの収集と分析を進めていく予定であった。 1)本研究の分析視点のひとつめとして、乳児とモノとのかかわりあいを大切にしている保育実践の場において、保育者の協力を得ることによって、継時的な仲間とのかかわりをビデオにて撮影、記録し、視線等を含めた微視的な分析を実施する。 2)本研究の分析視点のふたつめとして、赤ちゃんラボにおける初対面の乳児の仲間との出会いの場を設定し、そこでのかかわりあいについてのデータ収集と分析を実施する。 しかし、新型コロナウィルス(COVID-19)の対応のため、保育の場は日常の実践を研究のために録画することが難しい状況が続き、さらに赤ちゃんラボに、複数の赤ちゃんに来てもらうことを必要とするこの研究計画の実施自体を中止せざるを得ず、研究計画全体を見直さざるを得なかった。そのため、本研究の研究期間の延長を願いでることとし、このコロナ禍の中で、二人称的アプローチにより乳児の仲間とのかかわりあいのありようを明らかにする方法として、新たに保育者へのインタビュー、および、保育者の日常の記録を用いることによって検討を行うかたちで研究計画を練り直し、昨年度から、協力園で、0歳児の日常の保育の様子について、保育者の日常の記録を参照しながらのインタビューを継続的に行った。また、協力園のうち一園では、1ヶ月に1度程度ではあるがビデオを用いた参与観察を行い、乳児が保育の日常の中で出会うモノのおもしろさを仲間と共に味わい、さらに共におもしろがる活動へとつながるプロセスと、そのような保育者の二人称的かかわりに支えられている乳児期の仲間とのかかわりあいのありようをエピソードとして分析した。
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