研究課題
2022年度は、代表者が関与する児童発達支援センター(川崎市、伊勢崎市)の協力を得て、就学前段階の障害乳幼児の発達支援に関する事例研究を実施してきた。川崎市の児童発達支援センターでは、音声言語の限られる知的障害や自閉スペクトラム症(ASD)のある幼児に対し、音声ペン(G-Speak)を貸与し、支援機器を活用した療育の在り方について研究を進めた。事例研究の結果、障害幼児の中にICT機器に対する興味・関心が広がり、音声ペンから発する言語(支援者が入力済)を聞き取り、口形模倣を行う行為が芽生えつつある児も出てきている。他方、伊勢崎市の児童発達支援センターでは、代表者が定期的に現地に出向き、集団療育の一環として、ムーブメント教育・療法(身近な遊具を活用した動きやコミュニケーションの支援法)を用いた活動を共同で実践してきた。継続的な取り組みを通して、指導の前後に実施したアセスメント(MEPA-R)においても、各評定項目における能力や技術の向上が見受けられた。特に肢体不自由のある年中児に関しては、センターでの継続的な療育を通して、独歩での歩行が確立しつつある。同様に、保育士に対するヒアリング調査からは、発達を客観的に把握することの重要性などが指摘された。海外調査に関しては、2023年2月中旬にフランスのパリ市内に位置する療育センター、特別支援学級、日本人学校の現地視察を実施した。特にパリ郊外に位置するCAMPS(児童発達支援センターの役割を担う)の視察では、フランス国内でASDを早期に発見できる仕組みを強化したり彼らに特化したクラスを設けたりして、ASDの早期発見・早期支援に力を注いでいる現状を確認できた。また、同施設は家族支援にも力を入れていて、隣接する病院の医療・心理スタッフと連携しながら、多職種が一人の障害のある子どもを協働で支援していくという強い姿勢を感じ取ることができた。
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ライフデザイン学研究
巻: 18 ページ: 273-294
保健体育教室
巻: 315 ページ: 8-13
https://include.wp.worc.ac.uk/case-study-koreeda/