研究課題/領域番号 |
19K02632
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
落合 利佳 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (80435304)
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研究分担者 |
郷間 英世 姫路大学, 看護学部, 教授 (40234968)
五位塚 和也 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (80783109)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 就学前児童 / 高機能 自閉スペクトラム症 / 社会性尺度 / 受動型 / 積極奇異型 / 孤立型 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、困り感や援助表出が苦手であるなど受動型の自閉症スペクトラム障害、不注意優勢型の注意欠如多動性障害の特性を有する、集団場面で気づかれにくい知的な遅れのない発達障害児に特化した①集団の中での児童の実態および支援の現状把握、②「幼児版社会性・行動発達評価尺度」の臨床応用の可能性 の検証、③チェックリスト作成、④人物画描画課題の特徴を明らかにすることにある。2019年度には受動タイプASD、不注意優勢型ADHDが疑われる児童の存在に関する就学前集団での実態を京都市営保育所にてアンケート調査を行ったが、2020年度は、そのアンケート調査結果について分析を行い論文で発表を行った。また、発達障害児の保育環境に関する調査内容についても学会で発表を行った。加えて、これまでに行ってきた社会性尺度検査の基礎データから動作模倣に関す る項目を抽出して分析を行いその結果を性差も含めて論文にて発表を行った。2020年度以降コロナ感染症の影響で、コントロール群として幼稚園年長児・年中児およびその保護者、担任を対象に当初計画していたコントロールデータ収集は、両年とも実施直前でコロナ感染症による緊急事態宣言、まん延防止等重点措置や、ワクチン未接種である小児に対し感染拡大するなどにより、2年連続で中止となった。2021年度は、対面での検査実施は断念し、質問紙による調査と担任に依頼して人物画検査実施を行った。2021年度は高機能自閉症スペクトラム障害児とその保護者、保育者を対象としたデータ収集は、3グループに分け予定よりも症例数を減らし10~15例ずつの予定で専門機関の協力を得て行っている現時点で孤立型7例、積極奇異型9例、受動型11例の計27例集まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①コントロールデータは小児への感染拡大により予定していたデータの収集のうち、対面による検査の一部が中止となった。また、対面でのデーター収集に関してコロナ前と比べて、あきらかに研究協力を承諾する保護者が減少した。 ②研究協力機関も同様に、コロナ感染症の影響で、受診者数の激減にみまわれたことと、対面での検査への保護者の協力が得にくくなったことも影響し予想していたデータ数が収集できなかった。3つのタイプのうち孤立型の対象者が高機能での受診ケースがもともと少ないため、集まりにくかった。 ③大学で専攻主任(1年任期)になったため、専攻会議の運営、教務委員会、複数のワーキンググループ(大学学部改組、附属小学校実習)の構成メンバーとなり、また、教務、入試公報、研究および教育充費の予算等に関してのすべての雑務、特別支援学校教育実習担当(3人しかいない)など大学での実務が激増したため、これまでのデータをまとめるなどの時間的な余裕が全くなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、一部のワーキンググループのメンバーや特別支援学校教育実習など対応は継続してあるが、専攻主任からはずれたため時間的な余裕は前年度よりは十分に確保できる。 コロナ感染症の影響については弱毒化やワクチンの普及により、2022年度は、対面での検査実施はある程度可能になると予想される。したがって、コントロールデータの収集が可能であることが予想される。万が一、コロナ感染症などによる社会状況により対面による検査実施が難しい場合は質問紙や担任に実施を依頼することでできるだけデータ収集に努める。障害児のデータについては、各グループで10例を超えた段階で、データ取集の継続をしながら、分析を同時に開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度と同様に研究協力機関のデータ収集も予定より少なくなったため、予定より支出も減少となった。また、発表、情報収集のための学会参加(海外を含む)がオンラインになった、中止となったことから、出張費(交通費を含む)、参加費 が計上されなかった。2022年度は、アンケート調査およびタイプ別高機能自閉スペクトラム症児の特徴についての報告書の製本、研究協力機関への謝金、および、学会発表、論文投稿等に使用する予定である。
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