研究課題/領域番号 |
19K02634
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩藤 百香 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 講師 (80612986)
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研究分担者 |
青木 陸祐 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 教授 (30330632)
松本 正富 京都橘大学, 工学部, 教授 (20341159)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インフォームド・アセント / 小児医療 / ビジュアルデザイン |
研究実績の概要 |
1.現在使用されているインフォームド・アセント用資料の特徴分析 日本小児がん研究グループに所属する197施設の看護師を対象として,小児患者に症状や治療内容を説明して納得を得る際に用いられる視覚的な資料作成の現状を把握した.郵送によるアンケート調査を行い69件の回答を得た.調査の結果,2割の病院でインフォームド・アセント資料が作成されていた.デザイン分析用サンプルとして収集した既存の院内作成資料15件をみると,「紙芝居タイプ」と「プリントタイプ」の2つが存在した.また,導入率の高いプリントタイプは患児の年齢に応じてカスタマイズされるなど個別対応に配慮がなされていることを明らかにした. 2.現在使用されているインフォームド・アセント用資料が持つ普及に向けた課題の把握 「紙芝居タイプ」と「プリントタイプ」についてデザインの専門家と概要を検討した.「シートの構成要素」に関する3項目(形状,掲載される情報量.言葉による情報伝達の手段)と,「患児の選択決定プロセスへの配慮」に関する5項目(専門用語の使用.説明に応じたイラストの使用,小児が理解する時間の確保,年齢に応じたカスタマイズ,小児との双方向コミュニケーション)をみた結果,導入率が高い「プリントタイプ」における病気や治療についての情報量に限度がある,平易な説明を補助するための直接的な図解が乏しい,という課題を明らかにした.研究成果は論文として発表した(デザイン学研究・2022・68(4):65-70).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により実践例調査としての国内外の病院見学ができず,視覚的な説明資料の具体的な内容決定にまでは至っていない.また,患児と関わる医師や看護師とのディスカッションについても,予定した量を実施できていない.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,以下に示す方策を積極的に講じることで普及に向けたインフォームド・アセント資料の作成を進める. 1)国内外の病院における実践例調査…コロナの感染対策を講じた上でオンラインも活用しながら資料を作成した看護師にインタビュー調査を行う. 2)資料のデザインモデル作成…研究協力者に医療監修を受けながら資料の作成を行う. 3)看護師とのディスカッション…患児と関わり実際に資料を作成する立場である看護師とデザインモデルに対するディスカッションを行い,資料をブラッシュアップする.作成した資料は,HPにて公開する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナ禍の影響により国内の医療者とのディスカッションが遅延し、調査が予定件数に達しなかったため,旅費が減少したことが主な理由である. (使用計画)2022年度以降は、研究計画に基づき以下の使用を予定している.1.国内の病院における事例調査および担当者とのディスカッション(国内旅費・被験者謝礼金),2.学会等における情報収集(国内旅費),3.改善モデル作成(印刷費),4.ホームページ上でのツールダウンロードシステムの構築,等.
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