研究課題/領域番号 |
19K02638
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
植田 紀美子 関西大学, 人間健康学部, 教授 (60538081)
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研究分担者 |
米本 直裕 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 客員研究員 (90435727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 母子保健 / 子育て世代包括支援センター / 障がい児支援 / 子育て支援 / 障がい児家族支援 / ユニバーサルアプローチ |
研究実績の概要 |
子育て支援における障がい児対策を推進する上ではユニバーサルアプローチの視点が重要で、集団の特徴を同定し、効果的に働きかける戦略を見出す研究が急務である。本研究の目的は、子育て世代包括支援センター(以下、センター)における障がい児とその家族に対する取組実態を把握し、効果的に働きかける戦略を明らかにすることである。センター設置が概ね進んでいる一方で、障がい児に対する支援方策は、センターでの直接の支援でなく既存の障がい児サービスとの連携を重視しており(2019年度研究)、その理由として、①センターにおける障がい児支援対策は重要であるが、母子保健全般の実施が優先的になること。②センターで支援可能な障がい児は、周産期から乳幼児期に疾病や障がいが判明する児であること。③中心となる支援は疾病や障がい受容支援、適切な機関へのつなぎであること。が挙げられた(2020年度研究)。障がい児とその家族がセンターの支援につながるためには、まずはセンターを利用する必要がある。2021年度研究ではインターネットによる全国調査により、センター利用実態と子どもの発達の遅れが気になった場合の希求行動を明らかにした。乳幼児をもつ母親の間では、センターは必ずしも十分認知されていなかった。また、大都市に居住している方や無職者の方が、センターを知らないなど、センターへのアクセスの格差を認めた。子どもの成長や発達のことが気になっているにもかかわらず、その4割しかフォローを受けていない現状であった。センターを利用した方が、専門機関に紹介されフォローを受けていた。センターの周知が喫緊の課題であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、COVID-19の蔓延により、研究計画が思い通りに進まなかったが、2019度後半より、COVID-19蔓延の状況を踏まえ、フィールド活動を極力控えた研究に変更し、研究目標を達成できるような内容としている。昨年度の全国調査により、比較的多くのデータが集まった。横断的データとなったが、かわりに障がい児と限定せずに乳幼児全体の母親のセンター利用状況を把握することができた。子育て世代包括支援センター(以下、センター)は、障がいの有無を問わず、すべての子どもを対象としている。得られたデータにより、障がい児との比較をすることができ、センターにおける障がい児とその家族に対する取組実態を把握し、効果的に働きかける戦略を明らかにすることを目的とした本研究にとって、十分な分析ができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、障がいのある子どもが専門機関を利用するにあたり、センターを利用することでその後、スムーズに紹介されていることがわかった。しかし、子どもの発達が気になっていてもセンターを利用していない者が存在する。これらが、どのように専門機関を利用しているかを全国調査結果を用いて分析する。また、子どもの発達が気になっていない場合のセンター利用状況と子どもの発達が気になっている場合とを比較する。これらを総括し、ユニバーサルアプローチによる障がい児支援事業の在り方を提案し、論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 の蔓延によりフィールド活動を断念したことにより、全体的に支出が予定より少なくなった。2022年度は、これまでの研究成果をまとめ、発表するために、資料・文献整理を入念に行い、校正作業や報告に使用する予定である。
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