研究課題/領域番号 |
19K02639
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 紀宏 筑波大学, 体育系, 教授 (50196531)
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研究分担者 |
春日 晃章 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30343726)
中野 貴博 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (50422209)
朝倉 雅史 筑波大学, 人間系, 助教 (50758117)
鈴木 宏哉 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (60412376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子どもの貧困 / 体力・スポーツ格差 / 社会的排除 / 格差是正・縮小 / 学力と体力 |
研究実績の概要 |
近年、子どもたちの家庭の諸条件により、運動・スポーツ活動の実施状況が異なり、スポーツがしたくでもできない子どもたちの存在が問題となっている。そこで本研究では、2018年に実施した調査対象者へのパネル調査を実施することで、家庭背景による体力・スポーツに関わる格差が、一時的な現象ではなく恒常的に見られる社会現象であり、家庭背景と体力格差の因果関係を解明することを研究課題とした。児童生徒及び保護者への調査は、2022年2月~3月にかけて実施した。有効標本数は、児童生徒2,659名(高学年以上)、保護者4,854名(小学校低学年以上)であった。主要な分析結果は次の通りである。まず、世帯収入による体力格差を2つの調査時点別に分析した結果、いずれの場合も有意な差が認められた。この結果は、T1(2018年)の体力格差がT2(2022年)になっても解消・縮小されていない状況を示唆している。むしろ、T2(2021年)においては「1.400万円未満」のみならず「2. 400~600万円未満」についても他の群に比べて有意に低い値を示したことを踏まえると、家庭の経済状況による体力格差は拡大傾向にある可能性がある。次に、体力格差が世帯収入・学校外教育費・学校外スポーツ費によって規定されているかを「交差遅れ効果モデル」に基づく因果分析により検証した。最終的なモデルの適合度は、GFI=.995,AGFI=.937,CFI=.994,RMSEA=.064 であり,十分に許容できる値が得られた。T1時点における世帯収入がT2における体力や学校外スポーツクラブへの所属に対して直接的に影響するともに、その関係がT1での学校外スポーツクラブへの所属や体力総合得点によっても媒介されることが明らかとなった。以上の結果から、体力格差は、運動・スポーツ機会へのアクセスを媒介に時系列的に拡大する可能性が高いと考えられる。
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