研究課題/領域番号 |
19K02640
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
秋山 麻実 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90334846)
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研究分担者 |
高橋 英児 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40324173)
新野 貴則 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60353380)
小島 千か 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80345694)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 探索 / 保育 / 対話 / 社会構成主義 / 文化創造 / 地域 |
研究実績の概要 |
2021年度は、地域の保育者の協同的学びの場づくりの実践研究、必要な内容に関わる講演会の実施、海外の幼児教育・保育施設や保育者の学びの共同体への訪問・意見交換を予定していたが、実際にはコロナ禍のなかで以下の二点に焦点化することになった。 第一に、学びの場づくりについては、研究当初から開始した「探索保育研究会」は、2020年度にオンライン開催をしたが、本音で話し合うことで保育の悩みを解決する共同体として研究会が機能しなかった。しかし一方で安全衛生の観点から、対面開催は困難だった。そのため、3月1日、2日に集中し、少人数で、「コロナ禍の私たちの保育」と題して話し合いを行った。園によって異なる対策を手探りで行っているという状況だけでなく、保育者の不安感や疲労も、園の体制や地域のニーズによって異なることがわかった。 また、保育施設長有志とともに対面の会議を毎月1回開催し、園の独自性を活かしながら、なお園同士の学び合う関係を作るために必要な内容を精査し、保育記録の検討だけでなく、保育者にとって必要な語り合いの場や、学びの場を作るためのテーマを考えた。3月初頭の探索保育研究会は、それを生かした回となり、2022年度へと続けることとなった。 第二に、加藤繁美氏講演会「対話の時代の保育の課題―歴史に学び、歴史に生きる―」を開催し、地域ごとに教育的価値を追及する自由をもつ社会構成主義的な保育文化の創造の必要性とその事例としてのイタリアボローニャ市の実践について参加者とともに学んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、海外調査を行うことができなかったこと、また研究会をオンラインでしか開催できないという状況が、保育者自身が緊張せずに楽しく行う対話的な学びにフィットしなかったということが、理由としてあげられる。 研究会については、この状況を打破するため、テーマ設定を細かくして、参加人数を限定することによって、オンラインでも打ち解けて楽しく話をし、学び合える関係構築をすることを計画している。そのためには当初予定よりも多数回の研究会が必要だが、2022年度には、状況が変わらずともこれによって実践研究が進むことが期待できる。 また、海外の保育施設および学びの共同体との意見交換に関しては、状況の変化にあわせて遅れを取り戻す必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、少人数の研究会を、異なるテーマを設定することによってオンラインでも対面でも開催しやすくすることで研究を進める。特に、新規採用者、中堅などのキャリアステージでは、記録の書き方や保育実践に関することだけでなく、ライフステージの悩みや、課題が大きいことから、そうしたテーマも含めて多数回研究会を開催することによって、なるべく多くの保育者が気軽に参加できる保育文化を地域に形成することを推進する。 次に、地域にある保育施設には、幼児教育アドバイザーによる研修だけでなく、さまざまな学びのニーズがあることが、保育施設長有志の会合から見えてきている。これまで、園同士の学び合いや、ICTを活用した学びの機会の提供、地域の方々に保育の価値を考えてもらうための方途などについて考えてきたので、それを実践し研究的に意味づけるというかたちで、研究を推進する。 かねてよりイギリスにおける保育実践検討のネットワークとは意見交換をしてきているが、それを本格化させるとともに、オンラインでの見学など新たな方法を交えて、研究推進の方法を模索したい。 また講演会については、2022年度にも予算を計上してあるが、話を聞いて終わるのではなく、話し合い・学び合いへと繋がるような講演会のあり方を模索し、実践することで、どのような効果が見られるかということについて明らかにする。 これらを総合して、地域の(あるいはグローバルな)社会構成主義的な保育文化の創造は、具体的にどのように推進できるのかという条件と方法について整理し、研究発表および報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度には、コロナ禍の影響で、科研費申請当初予定していた海外の保育施設や保育者の学びの共同体の視察・意見交換を執行することができなかった。そのため、2022年度にこの事業を持ち越し、コロナ感染対策の状況にあわせて執行する予定である。 また、当初予定通り、講演会の実施とともに保育者同士の学びあいへと繋げる事業を行うこと、学会や論文というかたちでの発表と報告書作成についても実施する予定である。
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備考 |
Facebookは研究会の周知のために利用している。 Webpageは別途構築中である。
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