研究課題/領域番号 |
19K02648
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
椨 瑞希子 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (30269360)
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研究分担者 |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50221958)
藪中 征代 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (50369401)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家庭的保育 / 多文化化 / イギリス / ドイツ / 移民 / 第二言語 / 外国にルーツを持つ子ども |
研究実績の概要 |
令和3(2021)年度は、①英独の多文化化と家族支援に関する文献調査、②英独研究者を招いたオンライン研究集会、③家庭的保育者/小規模保育事業者を対象とする外国ルーツ児の保育経験と意識調査を実施し、④多文化保育に関する研修事業を試行した。 ②については、9月と3月にオンライン(同時通訳付きライブ)で公開講演会を開催した。ドイツについては、比較教育学者エルシェンブロイヒ氏に、1970年代以降のドイツ社会の多文化化と移民の背景を持つ子どもの支援について講演いただいた。講演原稿・使用スライド・質疑応答内容は資料論文としてまとめ、発表した。多文化社会イギリスの現状と課題については、2020年にイギリス政府が刊行したカリキュラム・ガイダンスを取りまとめたグルニエ氏より報告いただいた。両社会の課題について知見を得ただけでなく、海外からも含め延べ200名以上の参加を得たことで、本研究の成果の一端を伝えることができた。 ③は、7月~12月にかけて郵送法で行い、年度内に回収票の集計・整理を終えた。家庭的保育者の調査は、「東京都家庭的保育者の会」「東京都多摩地区家庭的保育者の会」の全会員とX区の全家庭的保育事業者、計239名に配布し、141通を回収した(回収率59.0%)。X区の配布先には、依頼文書において二重配布の可能性を伝えた。小規模保育所については、都近郊のY市の全105か所の施設責任者に配布し、52通の回答を得た(回収率49.5%)。 ④は、家庭的保育者/小規模保保育事業者を対象とする研修モデル構築に向けて企画した。質問紙調査の自由記述回答を参考に、3月に2回、講師を招いて外国ルーツ児の保育や、言葉の発達についてオンライン・セミナーを開催した。家庭的保育/小規模保育事業者以外の参加が少なく、取り上げる話題や実施方式に加え、研究目的により適した周知方法や募集方式が検討課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、令和3年度末で終了予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行のため、手配が完了していた初年度3月のイギリスへの訪問調査が実施できず、その後も予定していた海外渡航及び招へいを伴う研究活動がまったく実現できずに終わった。家庭的保育事業者/小規模保育事業者を対象とした調査ならびに研修計画も部分的な実施にとどまった。そのため、補助期間終了に先立ち、期間の延長を申請し、承認を得ている。以上から遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4(2022)年度は、新型コロナウイルス感染症蔓延防止上の制約が少なくなってきたことから、海外の研究協力者の招へい、ならびに研究代表者、分担者の渡航調査と成果発表を積極的に行う。 学会発表は、5月の保育学会(オンライン)で「イギリスにおける家庭的保育(チャイルドマインディング)の歴史的研究(2)」、8月のEECERA2022(欧州教育学会)の口頭発表を予定している。後者の開催地は、イギリス・グラスゴーである。日本における家庭的保育者/小規模保育事業者の外国ルーツ児の保育経験と意識に関する質問紙調査の結果について報告する。また、現地に参集した海外研究者と交流を深め、移民の背景を持つ3歳未満児や家族の支援についての知見を深める。許可が下りれば、スコットランドの幼児教育施設と家庭的保育事業について視察を行う。 質問紙調査については、地域的な差異を考察するために、小規模保育事業者を対象とする追加調査を行う。 研修モデル構築に向けた活動は、一般公開のセミナーではなく対象者を募集して進める方式に改める。対象者を小人数で3歳未満の外国ルーツ児の保育を行っている保育者に絞り、そのニーズにこたえ、より有意義なものとなる研修内容につなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画は、海外渡航調査ならびに海外研究協力者の招へい事業を含んでいたが、過去3年の研究補助期間中、新型コロナウィルス感染症の流行のために実施できなかった。渡航、招へいのための旅費が未使用となった。 未使用の補助金は、令和4年度の招へい事業ならびに海外実地調査/成果発表に使用する計画である。研究協力者の招へい時には合同調査を実施し、講演会を開催するので、そのための人件費、謝金も未使用金から支出することを予定している。
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