研究課題/領域番号 |
19K02650
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
林 大介 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60708379)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民主主義教育 / シティズンシップ教育 / 主権者教育 / 子どもの社会参加 / 18歳選挙権 / 18歳成人 / 子どもの権利 |
研究実績の概要 |
子ども時代からの社会参画を含めた民主主義教育・主権者教育(シティズンシップ教育)の推進が民主主義社会においてより一層重要であり、こうした取り組みが、世界に比して低い自己肯定感を高め、子どもが一人の人間として尊重される社会につながる。その際、ニーズ・ベース・アプローチよりも、根本的な問題解決につながるライツ・ベース・アプローチ(権利基盤アプローチ)が求められている。 本研究は、これまでの研究を発展し、18歳選挙権や18歳成人時代を踏まえ、国内外の民主主義教育の実践に関する調査研究と、子ども・若者の社会参画促進に向けた取り組みの調査研究を行い、日本社会における子ども時代からの民主主義教育および社会参加・エンパワーメントを通じた、民主主義社会の担い手育成に寄与することを目的とし、①国内外の民主主義教育の実践に関する調査研究と、②子ども・若者の社会参画促進に向けた取り組みの調査研究を行うこととしている。 1年度目の2019年度は、前年度から職場環境に変更が生じたこと、また、天候不順などの影響で参加予定の各地での取り組みが軒並み中止となるなど、計画通りの研究を行うことができず、予定していた海外視察を行うことができなかった。 その一方で、2019年7月の参院選含めて、国内における模擬選挙の実施や、あるいは、模擬選挙の実施に伴っての民主主義教育・主権者教育(シティズンシップ教育)が行われることにより、実践現場の視察や実践者との意見交換、子ども参加や主権者教育に関心のある関係者・専門家(研究者、自治体職員、教育関係者、NPO職員等)による情報共有および意見交換を行う研究会の開催などを行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述したように、1年度目の2019年度は、前年度から職場環境に変更が生じたこと、また、天候不順などの影響で参加予定の各地での取り組みが軒並み中止となるなど、計画通りの研究を行うことができず、予定していた海外視察を行うことができなかった。特に、欧州議会議員選挙における模擬選挙の現場視察を実施することができなかったことは大きい。 一方で、海外の民主主義教育に対する取り組みについては、積極的な情報発信が行われていることもあり、欧州議会議員選挙のみならず、カナダの大統領選挙における模擬選挙、アメリカの大統領選挙に向けた学校での取り組みなどを把握することができた。また、スウェーデンの16歳の環境活動家 グレタ・トゥンベリ氏による、世界規模の環境保全活動は国際的にも注目を集めている。前回の科研費による研究(『科学研究費 平成28-30年度「挑戦的萌芽研究」【18歳選挙権を踏まえた主権者教育及び子どもの社会参画促進につなげる国際比較研究】(16K13076)』(2016年4月~2019年3月))において、2018年9月にスウェーデンを視察したが、その際、グレタ氏によるデモ活動を現地にて目の当たりにしたこともあり、10代による取り組みが世界規模に共感を広げ、世界各地の子ども世代に勇気を与えている。まさに「子ども参加」が世界規模で取り組まれていること、海外の取り組みが日本の子どもにも影響を与え希望をもたらしていることなどを、当事者である子どもから伺うことができている。 また2019年は、国連子どもの権利条約の国連採択30年、国内批准25年という節目の年でもあり、主権者としての子どもの権利保障について、各地の教育関係者および実践者、そして当事者である子どもと意見交換などを実施することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年4月からは18歳成人となる。そもそも主権者とは何か、主権者に必要となる経験や知識は何か、それらはどのように学び育んでいくべきものなのか、といったことをさらに研究していく。 そのために、 1:各国の模擬選挙の比較研究を通して、今まで誰も行っていない海外の模擬選挙の比較を行い、その意義や課題、これからの展開のあり方につなげる/2:「子ども参加」に先進的に取り組んでいる自治体における効果、課題、可能性の質的把握/3:民間団体が学校や自治体と連携・協働する「民主主義教育」の意義、課題の質的把握/4:研究会を通じた「民主主義教育」「子ども参加」「主権者教育」の効果的なあり方の多角的・多面的に考察・評価・検証、「子どもにやさしいまちづくり」「子どもの社会参加」「民主主義教育」促進に対する理解促進と基盤整備強化/5:子ども自身のエンパワーメント、主権者意識の醸成による民主主義社会の実現、について、取り組んでいく。 なお、Cocid-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で、海外視察について流動的である。そのため、現地に赴くことはできない場合も想定して、オンラインでのヒアリングや、ネットを通じての情報収集なども検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外視察ができなかったため。次年度以降は、国内外の視察について見直しを行う。
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