研究課題/領域番号 |
19K02651
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
和田上 貴昭 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (30386289)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 外国にルーツのある保護者 / 移民 / 保育所保育士の支援 / 外国における子育て |
研究実績の概要 |
2021年度は下記の4点について取り組みを行った。 一つ目は、保育所を対象に行ったアンケート調査の集計及び分析と論文の執筆、投稿である。この調査は保育所を利用する外国にルーツのある保護者について保育所保育士がどのように認識し、支援しているかを明らかにするものである。2020年2月に実施した調査の結果、保育士は下記の必要性を認識していることが示唆された。保護者への情報伝達への配慮、保護者との関係性の構築、背景にある生活習慣や宗教などへの配慮である。保育士は外国にルーツのある保護者に対して個別生の尊重の観点を持ち、文化的コンピテンシーを踏まえた支援を行っていることが明らかになった。ただし社会資源の活用や他機関との連携については十分な認識がなく、支援におけるソーシャルワークの視点の必要性が示唆された。この論文は学会誌に投稿し、2022年1月に掲載された。 二つ目は、ドイツで子育てをする日本出身女性へのインタビュー調査とその分析、論文の執筆、投稿である。ドイツ在住の11名の日本出身女性を対象に、ドイツでの子育てにおける環境の影響について明らかにすることを目的とした。この結果は日本における外国にルーツのある方々の子育てについて検討する上で有効であると考える。 三つ目は「しつけ」の認識に関する調査である。対象を日本語で記述された研究論文として、概念分析の手法により、「しつけ」がどのような認識として用いられているかについて検討した。 四つ目は、外国にルーツがあり、日本で子育てをしている方への調査の準備である。日本で暮らす外国にルーツがあり、子育てをしている方への個別のインタビュー調査を実施する予定であったが、コロナ禍により実施することが困難であった。そのため、質問項目や分析方法について検討することを目的に2名のブラジル出身の母親を対象にプレ調査を行い、本調査の質問項目の再検討をおこなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度までに外国にルーツのある保護者への個別のインタビュー調査の実施と分析を終える計画であったが、コロナ禍の影響により、進捗状況としては遅れが見られる。また、渡航が困難なため、海外の移民の受け入れ状況に関する調査については、直接訪問して行うことができていないが、ドイツやスウェーデンにおける取り組みについて、国内で資料の収集を行い、補うことができている。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染状況が落ち着きを見せていることから、2022年度にはこれまで実施できなかった外国にルーツのある保護者へのインタビューを実施するとともに、保育所保育士に協力いただき、外国にルーツのある保護者への具体的な支援方法について検討を行うこととする。これらの成果と2021年度までの成果をもとに、総合考察を行う計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、海外への渡航ができなかったこと、対面でのインタビュー調査が困難であったことから、主に旅費と人件費(謝礼と通訳)の執行ができなかった。 2022年度はドイツおよびスウェーデンへの渡航およびインタビュー調査を実施する計画であるが、困難になった場合には、国内におけるインタビューの対象者の人数を増やすとともに、リモートにより海外へのインタビューを行うことで対応する。
|