研究課題/領域番号 |
19K02653
|
研究機関 | こども教育宝仙大学 |
研究代表者 |
守 巧 こども教育宝仙大学, こども教育学部, 教授 (90609843)
|
研究分担者 |
田丸 豊 (松原豊) 筑波大学, 体育系, 教授 (10566805)
若月 芳浩 玉川大学, 教育学部, 教授 (30349203)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | インクルーシブ保育 / 合理的配慮 / ニュージーランド / 幼稚園 / 幼稚園教諭 |
研究実績の概要 |
2020年度の実績として,学会において3本の発表を実施した。日本特殊教育学会 第58回大会(2020年9月)において幼稚園におけるインクルーシブ保育の内容を整理し,実践の方向性を明らかにすることを目的にインクルージョンと保育内容の要素や相違要素に関する.シンポジウムを実施した。次に,日本LD学会第29回大会(2020年10月)において東京都23区の公立幼稚園に対する質問紙調査を「公立幼稚園におけるインクルーシブ保育の実態調査ー質問紙調査を中心にー」と題して発表した。現在,質問紙における自由記述を分析しており,先の発表内容とあわせて,論文としてまとめている。最後に,日本乳幼児教育学会第30回大会(2020年11月)において口頭発表した。幼稚園教諭を対象として経験年数ごとにグループを編成し,インクルーシブ保育について「共通していること」や「違い」など,特徴や傾向について明らかにすることを目的とする研究の結果を発表した。本研究における経験年数は,初任教諭(0-2年),中堅教諭(3-15年),熟練教諭(16年以上)の3つの時期にわけた。あわせて,本研究を下地とした内容を日本教育福祉学会第10回研究大会(2021年3月)の招待シンポジストとして,本研究で提示しているインクルーシブ保育スペクトラムモデルについての話題提供をした。 また,経験年数ごとで「中堅」「熟練」に分類したグループについて,インクルーシブ保育に取り組んでいる際の配慮や優先事項などについて,それぞれの特徴や傾向について明らかにすることを目的とし,結果としてインクルーシブ保育の内容やインクルーシブ保育実践上の課題解消の手立ては経験年数によって違うことが示されたことを,『こども教育宝仙大学紀要第12号.29-36(2021年3月2日)』に,研究論文として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フォーカスグループインタビューは全員が異なる幼稚園に勤務する教諭を選定している特性上,スケジュール調整が困難であることから,新任教諭には未実施であった。スケジュール調整が済んだ後,コロナ渦となった。幼稚園現場も多忙を極めていたとともに,対面でのインタビューが困難となったため,混乱がおさまってからインタビューを行なった。そのため,大幅にインタビュー実施が大幅に進捗に遅れが生じた。なお,現在は,ZOOMでフォーカスグループインタビューを済ませている。 2020年度は世界においてインクルーシブ教育をリードしているニュージーランドにおけるインクルーシブ保育の実地調査を行う予定であった。しかし,コロナ渦となり,渡航困難となり,未実施である。インクルーシブ保育の捉え方や実践の比較検討をする予定であった。これらのことが遅れている原因である。
|
今後の研究の推進方策 |
1.2021年度は,すでに実施済みである公立・私立幼稚園の対象とした質問紙調査のデータを分析し,論文としてまとめる。保育学系の学会誌に投稿する予定である。データは,統計的に処理をする。さらに,自由記述については計量テキスト分析をして,詳細に検討する予定である。 2.2021年度に延期したニュージーランド視察は,コロナ渦のため延期とする。研究延長を申請し,視察は2022年度に実施する予定である。 3.質問紙調査の結果とフォーカスグループインタビューの結果をインクルーシブスペクトラムモデルと照らし合わせながら検討する。特に,インクルーシブ保育への意識や保育実践といった幼稚園教諭の捉えと行動レベルでの実践との関係に焦点を当てて考察を深める。 4.幼稚園教諭に対するインクルーシブ保育スペクトラムモデルの研修実施とそれに伴う,インクルーシブに対する意識の変容,合理的配慮の具体的な実践などに実地調査を行なう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は,ニュージーランド視察を予定していたが,コロナ渦のため2021年度に延期した。あわせて,インクルーシブ保育スペクトラムモデルの研修実施とそれに伴う,インクルーシブに対する意識の変容,合理的配慮の具体的な実践などを実地調査する予定であった。しかし,コロナ渦のため幼稚園での調査に制限がかかった。 視察の渡航費用や宿泊費などが未使用であり,かつ実地調査にかかる交通費などが未使用であることが主な理由である。 2021年度は,状況を鑑みながら実地調査を遂行するとともに,ニュージーランド視察を計画している。
|