教材という言葉は、広く日常的に使用されている言葉である。一方で、学校教育における教材とは、教科指導の中核となる概念である。今日の音楽科教育は様々な音や音楽文化を視野に入れるようになり、教育内容には拡がりが見られる。音楽科の教材概念を再検討することは、多様な音楽科授業を構想・実践するための基盤となる。 本研究ではまず、音楽科の「教材」が文脈に依存していること再確認した。文脈とは主に定義、言説、学習指導要領、学習指導案などを指す。学習活動の種類(歌唱・器楽・音楽づくり/創作・鑑賞)も文脈として作用する。更に教材を、その現れ方と受け止められ方も含む機能的な働きの次元で捉える方法と可能性を指摘した。
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