研究課題/領域番号 |
19K02677
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大庭 昌昭 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40303094)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 溺水予防 / 水泳運動 / 安全確保につながる運動 |
研究実績の概要 |
世界的に子どもの溺水事故は絶えず、子どもを守るための対策が急務である。本プロジェクトでは、小学校体育水泳授業における自己保全能力獲得のためのプログラム開発を全体の目標としており、本研究では新学習指導要領に新設された「安全確保につながる運動」の学習プログラムを作成することを目的としている。本年度(令和元年度)は、溺水予防に関する近年の世界的動向などを基に「学校水泳(特に小学校)の現状把握」を通して、小学校の水泳運動指導における課題の抽出・整理を行うことがねらいであった。 そのために、2019年6月に開催された学校水泳研究会(鳴門教育大学)に参加し「浮沈力」に関する調査と、10月に開催された世界溺水予防学会(南アフリカ共和国)に参加し「Swimming Competency in the context of drowning prevention」に関する調査を実施した。その結果、日本における水泳運動指導が「ある距離をある泳法で移動すること」に特化されすぎている現状を確認できたため、早急に新設された「安全確保につながる運動」の学習プログラムを作成しなければならないことが明確となった。また、実際に日本の小学校でこれまでに実施されている水泳運動指導の実態について、泳力基準表に関するアンケート調査を踏まえた研究の成果を、第70回日本体育学会(慶應義塾大学)において発表を行い、参加者から様々な意見を受けた。その多くの意見が上述した内容と強く関連するもので、小学校の水泳運動指導において「安定した呼吸」の学習を核とした学習プログラムづくりが急務であることも明確となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の調査として予定していた3つの学会(研究会)のうち、二つの会(国際学会を含む)に参加することができ、小学校における水泳指導の現状把握(課題の抽出・整理)を行うことが出来たことがある程度できたため上記の評価とした。特に、世界溺水予防学会ではより多様な取組を把握するとともに、溺水予防の基本的な考え方について、日本と世界の差異を実感出来たことが特に大きな成果であると考えている。 ただ、年度後半に予定していた学会大会への参加や関係者との打ち合わせなどが、コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、中止せざるおえない状況となったことは本研究の評価を下げる要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り調査結果をもとに研究を進めていきたいと考えているが、今後は「実験」を実施する計画となっており、少なからずコロナウィルス感染症拡大の影響を受けることが予想される。そのための様々な対策(一般的な対策など)を施したり、もしくは研究計画の変更(被験者を変更したり減らしたり、または時期をずらしたりするなどの対策など)も視野に入れながら進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定されていたコーチング学会が中止となったため。今後は、コロナウィルス感染症拡大による影響を考慮しながら計画的に使用していく予定である。
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