研究課題/領域番号 |
19K02677
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大庭 昌昭 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40303094)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 安定した呼吸 / ゆったりとした泳ぎ / 動きの改善 |
研究実績の概要 |
世界的に子どもの溺水事故は絶えず、子どもの命を守る対策が急務である。本プロジェクトでは、小学校体育水泳運動授業における自己保全能力獲得のためのプログラム開発を全体の目標としており、本研究では学習指導要領に新設された「安全確保に繋がる運動」を踏まえた学習プログラムを作成することを目的としている。コロナ禍のため、実際に小学生を対象とした実践は難しく、水泳が苦手な大学生に協力をしてもらい、研究を進めてきた。そこで得られた成果は、大きく二つある。 一つは、安全確保につながる運動(背浮きや浮き沈む)を基にして、安定した呼吸を大切にした学習プログラムを行うことで、苦手意識の原因となる「苦しさ」が軽減され、ゆったりとした泳ぎの獲得がなされるという成果が得られた。しかし、手や足の細かな動きについては、不十分な面が残るという課題は残った。このことは、2022年度水泳・水中運動学会年次大会(於:東京女子体育大学)において、「安定した呼吸を核とした水泳指導に関する実践研究」を発表した。 もう一つは、安定した呼吸を維持したゆったりした泳ぎを身につけると、手足の動きを改善しやすくなる可能性が示唆され、呼吸重視のプログラムの新たな有効性が示された。このことは、日本コーチング学会第34回学会大会(於:日本体育大学)において、「平泳ぎのキック動作改善を目指した実践事例」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で水泳運動の授業が中止となる小学校が多くあり、思うように実態把握を進めることができないままきたが、計画を変更し、苦手意識のある大学生を対象とした実践を進めることで、多くの知見を得ることができたため、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの大学生を対象として進めてきた研究成果を踏まえて、小学校体育水泳運動領域における学習プログラムを検討するのが、次年度大きな課題となる。その際、苦手な学生を対象として得られた成果がどの程度小学生に適応できるかどうか、検証する必要が残っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額の多くは、計画していた協力校における実態調査や学会参加が、コロナ禍の影響を受け中止となったことによる旅費等のものであり、今年度というよりも前年度までのものである。研究計画を見直し、期間を延長したことで概ね順調に進んだが、最終的なまとめ(検証のための経費、学会発表等の費用、報告書の作成等)のための経費として、次年度使用する予定である。
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