研究課題/領域番号 |
19K02686
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
金綱 知征 香川大学, 教育学部, 准教授 (50524518)
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研究分担者 |
家島 明彦 大阪大学, キャリアセンター, 准教授 (00548357)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高校生 / ネット使用実態 / 家庭内ルール実践 / 家庭内ルールの効果 / 教師・学校の役割 |
研究実績の概要 |
令和元年度・2年度に引き続き、高等学校生徒300名(1学年7学級)を対象に、令和元年度に作成した質問紙を用いた継続調査を行い、生徒のインターネット(以下、ネット)利用の実態について過年度調査から変化がないことを確認した。 特にネット上でのトラブル回避に向けた取り組みの一つとして広く実践されている家庭内ルール作りの実態とその影響を調査・分析した結果、約半数が家庭内ルールを実践しており、内9割がルールを遵守していた。特に多く挙げられた「フィルタリング機能の使用」について、その効果を検証したところ、「迷惑メールの受信」や「架空請求被害」については、利用者と非利用者との間に有意な違いは認められなかったが、不適切サイトへの意図しない接続被害については、被害経験数に有意な差が認められた。家庭内ルール実践には一定の有効性が認められるものの、学校を中心とした外部からの適切な利用と被害防止に向けた指導・支援も合わせて必要であることが確認された。調査対象校の教職員向けの校内研修会を実施し、生徒のネット上でのトラブルや被害の防止に向けた今後の取組について検討する機会も設けた。 コロナ禍にあって対面形式の研修会の実施が制限されたことから、「いじめ対策における教師の役割と志」と題したオンライン連続セミナーを企画し、3つの研究グループの共催で実施した。2022年1月に『いじめの傍観者研究の国際比較:いじめの構造解明に向けて』『ネット活用を含むいじめ対策に関する教員の認識と日常の取り組みについて』、同2月に、『「火事のメタファー」を用いた「いじめ」理解:ことばの分析を通した実践の試み』『小・中・高等学校における「教員間いじめ」に関する調査報告:教員社会は子どもたちよりも「いじめ」が多いのか?』というテーマで、いじめ・ネットいじめに関する教師の役割について研究者と実践者とが活発に知見交流した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生徒のインターネット使用実態に関する調査については概ね計画通りに実施・分析が進められている一方で、学校の予防・対応の実態に関する聞き取り調査については、新型コロナウイルス感染拡大状況による対象校への訪問の制限等により実施が叶わなかった。令和2年度に代替措置として実施した質問紙調査で学校対応の概要は掴んだものの、生徒の実態とのマッチングモデルの検討を進めるため、さらなる詳細な聞き取りが望まれる。今年度も当該感染症については厳しい状況が続いているが、対象校と協議しながら可能な範囲で進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
生徒対象の質問紙調査は、概ね当初計画通りに、令和元年度~令和3年度と継続実施できている一方で、学校の対応モードに対する聞き取り調査は平成31/令和元年度は実施が叶わず令和2年度に質問紙調査で代替実施するに至った。 令和3年度はこれらの調査結果から生徒の実態に関連した分析を進めたが、今後は、令和2年度に聞き取り調査の代替として実施した教員対象の学校の予防・対応措置に関わる質問紙調査の結果と生徒の使用実態との関連について分析を進める予定である。 令和3年度はオンラインセミナーとして開催した生徒の使用実態と学校・教師の予防・対応に向けた役割と取組に関する意見交換・協議の機会を継続して設けたい。 これまでの研究成果については、国内外の学会にて発表するとともに、主要な学会誌に研究論文を投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度においても過年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響から、予定していた国内外への調査出張及び関連学会への参加をキャンセルせざるを得ない状況となり、その分の旅費及び学会参加費が次年度使用額となった。 次年度使用額は、当該感染症の感染状況を見定め、調査及び学会旅費や学会参加費に充てるとともに、研究成果の出版費に充てる予定である。
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