研究課題/領域番号 |
19K02686
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
金綱 知征 香川大学, 教育学部, 教授 (50524518)
|
研究分担者 |
家島 明彦 大阪大学, キャリアセンター, 准教授 (00548357)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | インターネット使用実態 / インターネット防止策 / インターネット使用上のリスク感知 / 高校生 |
研究実績の概要 |
令和元年~4年に実施した継続調査から、ネットの使用が生徒の生活の一部となっており、その使用用途は、主に動画視聴やオンラインゲーム等のエンターテイメント利用と、SNSを中心としたコミュニケーション利用とに大別されることが明らかとなった。 ネット利用時の被害状況については、「アダルトサイト等への誘導」や「架空請求」に関わる「迷惑メール等の受信」が最たるものであった。また少数ながら、掲示板やSNS上での誹謗中傷や個人情報暴露の被害も報告された。また加害行為についても、掲示板やSNS上での他者への誹謗中傷や個人情報の無断掲載が最たるものとして報告された。 学校における生徒のネット問題状況に対する防止策については、不適切利用に対する対応としては口頭注意が中心であり、予防措置としては、年1回の講演等の全体指導が中心で、個別の問題に対する予防教育まではできていない現状が明らかとなった。一方で、約半数の生徒の家庭で、独自の使用ルールを決めており、不適切なサイトへのアクセスの抑止など一定の有効性が認められた。 今年度は、上述したこれまでの成果をまとめて、論文として発表するとともに、新たな分析手法を用いた高校生のネット使用におけるリスク感知に関するより精緻な分析を試みた。その結果、ネット上のトラブルへの敏感さは、ネット使用に対する漠然とした不安が、ネット上での被害一般に対する不安へとつながり、最終的には自分自身が被害の対象とされてしまうことへの恐怖につながっているという構造が明らかとなった。また加害行為の背景要因である匿名性への信念は、ネット上での被害に対する無関心が、悪意のない書き込みを誘発し、それが「バレなければ何をしても問題ない」という意識へとつながる構造が明らかとなった。こうした様々なネット問題関与のゲートウェイとしてネットへの依存を仮定したが、その関連の解明には至らなかった。
|