研究課題/領域番号 |
19K02690
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
坂井 武司 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30609342)
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研究分担者 |
石坂 広樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20537493)
田村 和之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (80609280)
小澤 大成 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60253241)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グローバル人材 / 相互文化的能力 / 授業研究 / 算数教育 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、平成30年度に実施したシンガポールをホスト校とする算数科のパイロットグローバルレッスンスタディ(Global Lesson Study)におけるグローバルレッスンスタディプログラムの内容と方法の問題点の検証と修正を行った。その中で、「グローバルレッスンスタディのスタートアップ」「研究授業前の協議」「研究授業の撮影・観察」「研究授業後の協議」「グローバルレッスンスタディのクロージング」という5段階からなるグローバルレッスンスタディのプログラムの内容とGoogle Hangoutを利用したビデオ会議やクラウドにアップされた研究授業のビデオ視聴による授業観察というプログラムの実施方法を確定した。また、パイロットグローバルレッスンスタディの過程を質的に分析することにより、パイロットグローバルレッスンスタディが、グローバル人材としての教員(相互文化的能力に優れた教員)の育成に有用であること及び教科の指導に関する教員の資質・能力の向上につながることを明らかにし、この結果をもとに、シンガポールをホスト校とする算数科における本格的なグローバルレッスンスタディの実施に取り掛かった。さらに、グローバルレッスンスタディを通して、どのようなグローバル人材としての教員の資質・能力(相互文化的能力)が向上するのか及び教科指導に関するどのような資質・能力が向上するのかを明らかにするために、「グローバル人材としての教員の資質・能力(相互文化的能力)に関する調査項目」と「教科指導に関する資質・能力の調査項目」を作成し、グローバルレッスンスタディの事前・事後に調査を実施した。理科の方では、日本をホスト校とするパイロットグローバルレッスンスタディに取り掛かった。 したがって、本研究の成果は、グローバル化に対応できる相互文化的能力に優れた教員の育成という意味において、必要かつ意義があると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グローバルレッスンスタディは、シンガポールと日本の2国間において,それぞれがホスト校を担当する2年を1サイクルとする。そのため、当初の予定では、今年度は日本がホスト校を担当し、算数科のパイロットグローバルレッスンスタディを実施する予定であったが、日本の小学校の諸事情により、ホスト校を担当できない事態が起きた。しかし、昨年のシンガポールをホスト校とする算数科のパイロットグローバルレッスンスタディの結果をもとに、本格的にシンガポールをホスト校とする算数科のグローバルレッスンスタディに着手することへ変更した。このことが、シンガポールをホスト校とした場合の日本の教員の変容をより具体的に捉えることにつながった。日本がホスト校をする場合も、概ねグローバルレッスンスタディのプログラムの内容と方法は同じであるため、来年度のグローバルレッスンスタディの実施に問題はないと思われるが、日本での実施を想定した算数科のグローバルレッスンスタディの実施方法について、既にシンガポールの小学校と検討・確認済みである。理科の方では、予定通り、日本をホスト校とするパイロットグローバルレッスンスタディに取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、令和元年度に実施したシンガポールをホスト校とする算数科のグローバルレッスンスタディの事前・事後に実施した「グローバル人材としての教員の資質・能力(相互文化的能力)に関する調査」と「教科指導に関する資質・能力にの調査」の結果の分析・考察を行い、グローバルレッスンスタディを通して、どのようなグローバル人材としての教員の資質・能力(相互文化的能力)が向上するのか及び教科指導に関するどのような資質・能力が向上するのかを明らかにする。また、日本をホスト校とする算数科のグローバルレッスンスタディとその事後における2つの調査を実施し、日本をホスト校とした場合の日本の教員の変容を捉える。理科の方では、本格的に、シンガポールをホスト校としてグローバルレッスンスタディを実施する。 グローバルレッスンスタディは外国に行かなくてもできる国際遠隔授業研究であるため、新型コロナウイルスの影響下でも実施は可能である。しかし、小学校の休校が続く場合は、研究授業が実施できないため、研究授業の実施時期を大幅にずらすか、授業研究の前半部分である研究授業前の学習指導案に関する研究協議までを令和2年度に実施し、後半部分の研究授業の実施と授業後の研究協議を令和3年度に延期することで対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に国際ジャーナルへの論文投稿を予定していたため、論文投稿・掲載料として予算を確保していた。しかし、海外の研究協力者との論文の検討・編集に時間がかかり、次年度での論文投稿に変更となったため、その費用にあてる予定である。
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